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人間の持つ「規範意識」でいうと、面白いのは中国の事例だ。中国では長年マナーが規範(文化)として定着しなかった。例えばタクシーの運転手に対して、乗客は横柄にするのが当たり前だった。
ところが、中国はそこにネットの評価システムを持ち込んだ。タクシーの運転手が客を評価できるようにしたのだ。そして、その運転手の評価に応じて客の運賃を割引するようになった。運転手の評価が高ければ、客の運賃が下がるというわけだ。そういうふうに、マナーを実際的・実利的な構造に組み込んだ。
そうしたところ、劇的にマナーが向上したのだ。中国の文化は、そういうふうに実利的なものに対しては規範を持ちやすい。その逆に、日本は「実利を求めてはならない」と教えられてきた。「天網恢々疎にして漏らさず」や「お天道様が見ているよ」というのが日本人の好きな規範意識だった。善行は見えないところでこそしろ、その方が徳が高い――というわけだ。
とこ
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