ハックルベリーに会いに行く
庭について:その44(1,950字)
トーマス・チャーチは、最初は「ボザール様式」の薫陶を受け、伝統的なヨーロッパ風の幾何学的な庭を志向した。「ボザール」とはフランスの国立美術学校のことで、そこで学んだことを誇ったアメリカ人芸術家たちが、自らのスタイルを「ボザール様式」と呼んだことから生まれた意匠だ。
ボザール様式は、なにしろフランスの学校を発祥とするため、その意匠もフランス式だ。つまり庭園は幾何学的で、建築もゴシックである。これが、19世紀後半から20世紀前半にかけて、アメリカで大流行したのだ。
アメリカには、ニューヨークのグランドセントラル駅や公共図書館など、ギリシア神殿を模した巨大な柱廊が特徴の建築がよく見られる。それらは概ねボザール様式で、1900年前後に大流行し、アメリカ全土に次々と建てられた。
チャーチも、はじめはそうした様式に連なるランドスケープからスタートした。しかしすぐに、新たに発展してきた近代建築に興味を惹
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