イチローは面白い。彼は「劣化しない人」の典型であるが、同時に典型的な「意志の弱い人間」でもある。
これは、一般的なイメージとは真逆である。一般は、イチローほど「意思の強い人間」はいないと見ている。

ところが、実態は逆なのだ。イチローは意志が弱い。だからこそ、劣化から遠い立場にいる。その逆に、かつてオリックスで先輩だった門田博光は、意思の強い人間の象徴だ。彼は40歳を越えてもホームラン王を取るなど活躍したが、現役の時からアルコール中毒と糖尿病を患い、引退したときにはボロボロの体だった。その意味で、「劣化する人」ともいえよう。

こういう人は、努力でのし上がった。逆に劣化しない人は、努力ではのし上がらない。ところで、イチローはたゆまぬトレーニングを続けたことで有名だが、それは努力ではないのか?

実は、努力ではない。イチローのトレーニングは、趣味なのだ。もっというと、生きる目的である。イチローが一