ハックルベリーに会いに行く
庭について:その80(1,748字)
無鄰菴について書きたい。
無鄰菴は現代人にも人気だが、一方でそれはありふれた庭にも見える。なぜ人気かといえば理由は二つで、一つはそれが街中にありながら、街中にはないように感じる「箱庭感」「異世界感」「異化効果」である。つまり、「市中山居」の系統を受け継いでいるのだ。
もう一つは東山の借景の使い方が上手で、素人にもその魅力が分かるところである。そういう「素人受け」する二大要素がある。それに、山縣有朋という一般人にはよくは分からないが、とにかく明治の偉い人の別荘だったということで、なんとなく納得感、歴史観がある。そうしたことから人気なのだ。
さらに、現在でも自由に観覧できることも、人気の一因である。しかしそれらは無鄰菴の本当の魅力ではない。無鄰菴には、庭に詳しい人が見ても唸るようないくつかの魅力が詰まっているのだ。
まずは水の使い方。京都の名園でも、自邸に川を引けるというのは極めて希である。山
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