ハックルベリーに会いに行く
庭について:その81(1,852字)
ここまで二年の長きにわたって庭について見てきたが、そろそろ連載も終盤に近づいてきた。
前回、小川治兵衛の無鄰菴について述べた。これは近代日本庭園の最高傑作で、無鄰菴を越えるものはなかなかないと今でもいわれている。以降の日本庭園は、小川治兵衛と無鄰菴を無視できなくなった。
日本庭園はさまざまな流派を生み出しながらそれがうねりのように混ざり合ったり統合したりまた離れたりしている。その中で通奏低音のように流れているのが「借景」で、これはどの庭園にも共通して見られる。「見立て」もまたそうだろう。どんな庭も、だいたい何かを山や川、海に見立てて作られている。
そういう日本庭園の流れの中に、明治期には新たなうねりが加わる。それは西洋庭園である。そうして和洋折衷様式ができた。実は無鄰菴も和洋折衷様式なのだ。全く目立っていないが、日本建築の背後にちゃんと西洋建築が建っている。明治期には、和と洋の二棟を建てる
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