競争を勝ち抜ける人は失敗をするのが上手い。失敗をアレンジできる。ここでいう「アレンジ」とは、「用意する」とか「織り込む」といった意味である。

失敗の達人といってパッと思いつくのはイチローだろう。彼は4000本安打を放った時、「むしろ8000回凡打したことを誇りに思う」と言っていたが、これは普段から失敗に目配りしていることの証左である。イチローにとって凡打は、ヒットを打つためになくてはならないものなのだ。大切なレッスンなのである。

ところで、失敗をアレンジするために必要な条件とは何だろう?
まずは「失敗が許容される場があること」。イチローなら「まずはバッターボックスに立つ、レギュラーの座を確保する」ということだ。これがなければ始まらない。
二番目は「失敗でちゃんとへこたれることができる感受性」。イチローで言うなら、ヒットを打てなかった時に「ああ、おれのバッティングはまだまだだな」と自覚できる