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物語には「型」がある。「型」はもちろん必要なものだが、しかしそれだけに縛られると、作品が固いものとなってしまう。そこで、要所で「破綻」をもたらす必要がある。そうすれば、そこに面白みが生まれ、固くなりすぎない。
その破綻をもたらすものこそ「リビドー」である。作者のうちにある欲求を、それも無意識にあるそれを、物語の中に滑り込ませる。すると、物語が破綻する「必然性」が出てくるので、破綻が単なる失敗にならず、面白みになる。
破綻の面白さというのは、陶器でいうなら焼成のときにできるさまざまな意匠に似ている。陶器は、焼くときにさまざまなアクシデントが起こりやすい。例えば、貫入という細かいひびは、計算では作れない。また、ちょっと歪んだり、あるいは灰や天井からの滴によって「自然釉」という名の装飾が施されたりする。「へうげもの」の古田織部は、そういう破綻の面白さを「甲(優等生)ではない」という意味で「乙なも
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