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この他にも、さらに二つの地理的条件が、「日本固有の美的感覚」を育んだり「日本的な美」を生み出したりすることと深い相関関係にある。
一つは、「天変地異が多い」ということ。地震や火山、津波、台風などがその代表だが、大雨による土砂崩れや、乾燥による火事などにも見舞われる。日本の気候はとにかくころころと移ろいやすく、変化による被害を避けられない。
そこで日本人は、そうした変化に対抗するのではなく、むしろ順応するような文化を築き上げてきた。代表的なのは、その住居に対する考え方である。日本人は、建造物を「永続するもの」とは考えず、むしろ「使い捨てるもの」と考える。そのため、手軽で簡便な建築工法が発達し、そういう家での住まい方を洗練させてきた。
その象徴ともいえるのが、伊勢神宮の「遷宮」という有り様である。伊勢神宮は、原則的に二〇年おきに社殿を作り替える。これは、建築というのは天変地異に際して壊
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