ハックルベリーに会いに行く
教養論その28「教養の矛盾」(1,631字)
教養というのは、一般的にはものごとを肯定的にとらえる力だと思われている。ものごとの正の側面をとらえ、それを伸ばしていける力のことだと。
例えば、教師でいったら生徒の良いところを見つけ、それを伸ばしていけるのが「教養ある人物」というふうにとらえられる。
しかし、それは教養の片面に過ぎない。教養には、もう一つ重要な側面がある。
それは、ものごとを否定的にとらえる力だ。ものごとの負の側面をとらえ、それを解消していったり、場合によっては放置して、そのまま死滅するのを待ったりする力だ。諦めたりする力である。
近年、「嫌われる勇気」という本がベストセラーとなっているが、この「嫌われる」というあり方は、まさに教養のもう一つの側面といえよう。教養ある人間というのは、単に人から好かれるだけではなく、ちゃんと嫌われることができる。教師でいったら、生徒の悪い面をとらえ、これを否定したり、解消させたり、場合によっ
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