オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第106回 台湾から連れてこられたある女性のウラガワ(1)
◆もくじ◆
・台湾から連れてこられたある女性のウラガワ(1)
・最近の志麻子さん
有吉反省会にヒョウ姿でひきつづき出演中
ドラマ「侵略!ガルパンダZ」に出演中
新刊『現代百物語 因果』6/18(土)発売
「韓流アフタヌーン~岩井志麻子のイイオトコ図鑑」次回は6/17(金)
6/19(日)「やついフェス」にDJ岩井志麻子出演!
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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韓国男好きとして知られる岩井さん。しかしなぜか最近、台湾がきているという。
きっかけは、公私ともに仲の良い徳光正行さんから持ちかけられた話。
「うちのお母さんの家の物語を、書いてもらえないでしょうか」
その取材をするうち、登場するある女性のことが気になり始めて……。
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http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga
2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ」
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ」
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ」
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ」
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ」
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ」
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ」
6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ」
7月「異国の夏休みのウラガワ」
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ」
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ」
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ」
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ」
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ」
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ」
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ」
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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岩井志麻子といえば韓国男好き、韓国男好きといえば岩井志麻子。てなふうに、Googleなどの予測変換にも出てくるくらいになっている。
ところがなぜか最近、奇妙なといういい方をしていいものかどうかだが、突如として私の元に台湾がやってきたのだ。
もちろん、台湾の土地そのものが泳いで近づいてきたのではない。エロいカッコいい台湾男がわんさか、私の元にやってきたのでもない。それは期待しているが、今のところ一人も来ていない。
これまでにも公私ともに何度か渡っていたし、好きな国の一つではあったが、こんなにぐいぐい来られたことはなかった。しかも、いささかミステリアスな雰囲気をまとって。
そんなわけで今月は、ちょっと怖いような気もする台湾物語をお送りする。
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なんとまあ、数えてみればもう十一年もレギュラー出演させてもらっている、TOKYO MXの『5時に夢中!』。
初代司会者の徳光正行くんは、今に至るも公私ともに仲良くさせてもらっている。彼が番組を卒業した後も一緒にトークイベントを続けているし、ファンとのバスツアーなんかもやっている。新宿ゴールデン街で飲んだくれて、乳首も見せ合っている。
会えばエロ話ばっかりしているが、リアルなエロ関係は一切なし。ゆえに、続いているのではなかろうか。そんな彼があるとき、
「うちのお母さんの家の物語を、書いてもらえないでしょうか」
といってきた。ご存じのように、彼のお父様は日本人みんなが知っているくらいの名司会者、徳光和夫さんだ。和夫さんのお父さんも日本テレビの重役で映画監督、そのまた上のお父さんは明治の文学者と華麗なる一族なんだけど。
息子にいわせると、実は有名人のお父さんより、一般人のお母さんの方がドラマチックで数奇な人生を歩んだ先祖を持っているのだそうだ。
それをなんとかして文章にして残したいと考えたとき、私が浮かんできたという。
もちろん、引き受けた。弟のような息子のような彼の頼みであるし、ちらっとお母様のルーツのサワリを聞いただけで、それはおもしろい!と感じたからだ。
そうしてお父様の事務所にお邪魔し、お母さんとそのお姉さん、つまり正行くんからは伯母さんに当たる方にお会いしてきた。いや、お上品な一家であるな。悪い友達と付き合うんじゃありません、と怒られてないかしら。
ともあれ様々な資料をいただき、話も聞かせていただいた。……それはこれから、おいおい書いていくとして。
確かに、お母さんのお母さん、そのまたお母さんの話はまさに小説のようだった。正行くんの曾祖母に当たるアグさんという方は人気芸者だったそうで、今でいうプロマイドまであり、雑誌の表紙も飾り、これがもう今見てもありえない美女なのだ。
思わず仲良しの名物編集者、中瀬ゆかり、そして人気漫画家の西原理恵子らにラインで画像を送ってしまったよ。同い年の彼女らも、仰天していた。
「この時代にこんな美人、滅多にいないよー」
「さすが、ええとこの人は違うなぁ」
「うちのひいばあちゃんなんか、ガッツ石松だったわ」
「改めてアルバム見たら、うちのひいばあちゃんは立花隆そっくりだったよ……」
「でも、当時の庶民はみんな、そんなもんじゃね?」
何はともあれ、そんな美人だからWikipediaに詳しく載っているような名士の元に行くわけよ。でもって、THE・美人の人生を歩むんだけど。
私はそれよりも、別の女性のことが気になって仕方なくなっていた。彼女は、ハルと呼ばれた家政婦だ。
そう、正行くんのお母さんの一族ではない。彼と血縁関係のない、まったくの他人だ。しかし一族の女として扱われ、その生をまっとうした。
実はハルさんは、日本人でもない。正行くんのお母さんの伯父さん一家が、仕事の関係で戦前の台湾に住んでいた頃に引き取ったのだ。