オンナのウラガワ ～名器大作戦～

◆もくじ◆

・ドライなのかウェットなのかわからないウラガワ（１）

・最近の志麻子さん　
　『岡山女』新装版、単行本『煉獄蝶々』発売中
　『5分で読める！ ぞぞぞっとする怖いはなし』に寄稿
　『週刊大衆』で「熟成肉女　召し上がれ」連載中
　「カクヨム」で田原総一朗・二次創作小説を発表
　『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より発売中
　カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
　MXTV「５時に夢中！」レギュラー出演中

・著者プロフィール

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人間関係や物事にも、湿ったものと乾いたものがある。
ドライな関係って冷たいような響きを持つけれど、ウェットな関係もけっこう怖いものがある。
ドライと言われつつ実際はウェットだったり、区別がつかなかったり見方が分かれるときも。

「泥棒は下見する」、防犯関連の会社の増田さんが教えてくれた。
ある商店主さんの金庫が盗まれた話で岩井さんが興味をもったのは、実行犯の男達のことより、下見に来た中年女性のことだった。
新宿歌舞伎町に住み、散弾銃を持つ岩井さんが日々感じることは……。


 ※担当者の不調により更新が長く滞り大変申し訳ございませんでした。
順次記事公開いたします。

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2014年11月～20年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ」
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ」
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ」
4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ」
5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ」
6月「ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ」
7月「ホラーの夏なので怖い怪談実話なウラガワ」
8月「夏といえばの怖い話・奇妙な話のウラガワ」
9月「歳を取れば大人になれるわけではないウラガワ」
10月「この歳になって初めて知ることもあるウラガワ」
11月「「どこで逸れたんだろう」と考えてしまうウラガワ」
12月「人生そのものがお楽しみ会のウラガワ」
2022年1月「まだ楽観視できない未来を思うウラガワ」
2月「記憶が混乱するアレコレのウラガワ」
3月「どうしても心残りなウラガワ」
4月「心残りな事件の男たちのウラガワ」
5月「好きと心地よいは違う、温度差を感じるウラガワ」


※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年７月～12月　名器手術のウラガワ／エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ／エロとホラーと風俗嬢のウラガワ／風俗店のパーティーで聞いたウラガワ／エロ話のつもりが怖い話なウラガワ／風俗店の決起集会のウラガワ
2014年１月～10月　ベトナムはホーチミンでのウラガワ／ベトナムの愛人のウラガワ／永遠のつかの間のウラガワ ～韓国の夫、ベトナムの愛人～／浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ／韓国の絶倫男とのウラガワ​／ソウルの新愛人のウラガワ​／風俗嬢の順位競争のウラガワ​／夏本番！　怪談エピソードの数々のウラガワ​／「大人の夏休みの日記」なウラガワ​／その道のプロな男たちのウラガワ​

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　六月といえば、梅雨。湿気の多い時期だが、日本は六月でなくても夏は常に湿度が高い。そして人間関係や物事にも、湿ったものと乾いたものがある。

　ドライな人、ドライな関係って、冷たいような味気ないような響きを持つけれど、ウェットな人、ウェットな関係もけっこう怖いものがある。

　そして、ドライといわれつつ実際はウェットだったり、ドライなのかウェットなのか本人にも区別がつかず、周りの見方も分かれるときがある。

　というわけで今月は、「それはドライなのかウェットなのか、わからない」「ドライに見せかけてウェットだった、あるいは、その逆だった」みたいな話を書いてみる。

　例によって個人を特定されないよう、全編に渡って登場人物はすべて仮名か匿名、背景などにも軽くフェイクを入れてあるのを、おことわりしておく。

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「泥棒って、下見をするんですよ」
　防犯に特化したカメラやドア、窓ガラスなど扱う会社の増田さんが、教えてくれた。

「どの時間帯に外出するか、金庫はどの部屋にあるか、防犯カメラはどこにあるか、犬はいるか、などなど。プロの泥棒は、たまたま通りかかった所に金ありそうな家を見つけたから入ってみた、なんてのはないですね」

　私は今まで生きてきて、泥棒に遭ったことはない。岡山にいた頃は鍵なんかかけない生活だったが、田舎町なので見慣れない余所者がいれば目立ってすぐ覚えられてしまう。
　上京してからは、一人暮らしの部屋に趣味のクレー射撃用の散弾銃を保管することとなったので、施錠には本当に神経質になった。最初の部屋も今の部屋も、そんなすごい高層階ではないが、窓から忍び込むのは困難な位置と高さで選んだ。

「これは、知り合いの商店主さんの話です。ある日いきなり地味な中年女性が訪ねて来て、お宅で使ってほしいと面接を求めて来たとか。とりあえず、応接室には通したそうですが、今は店員の募集はしてないからと断ったんですね。
　次の日、何人かの男達が忍び込んできて、金庫を盗んでいったそうです。今から思えばあの中年女性が、金庫の位置を確かめていたんだなぁと、がっくりきてました。
　本当に手慣れたプロ集団だったようで、警備会社から駆け付ける前に終えてました。
　金庫を、窓から放ったんですよ。持って逃げずに。窓の下に、別の男が待機してて、すぐ車に乗せてったみたいです。その後、商店主はうちから防犯カメラ買ってくれました」

　なんだか私は実行犯の男達より、その下見に来た中年女性が怖かった。男達は完全に泥棒の顔で来て盗んで去っていったわけだが、彼女は盗みの下見に来た店で商店主を相手に、善良で真面目な人を装い、笑顔すら見せたのだ。

　もしかしたら私もそれとは知らず、泥棒の下見に来ていた人とすれ違ったり、言葉を交わしていたかもしれない。

　今現在、私は新宿歌舞伎町なんかに住んでいる。私には居心地よい街だが、