共働き家庭の衝撃
上京直後の三月下旬に父が東京に来た。
西の祖母が実家に泊まりがけで弟妹の面倒をみてくれているという。美穂は無事、私と同じ高校に合格し、子供たちは春休みに入っていた。
父は二子玉川に住む親戚の藤野さんのお宅に伺うアポイントメントを取っていた。都庁に勤める旦那さんと都立高校の教諭として働く奥さん夫婦と、美術大学と薬科大学に通う息子二人の四人家族の藤野さんは、駅から程近い賃貸マンションで暮らしていた。
その日は平日で、私と父は、奥さんの真知子さんと二子玉川駅で待ち合わせた。一応、父が私の携帯電話のナンバーを伝えていたらしいのだが、真知子さんは息急き切って走って現れ、
「電車降りて公衆電話探すよりそのまま来た方が早いと思って。遅くなってごめんね」
と、荒い呼吸をしながら言った。
「正芳さん、花菜ちゃん久し振り」
真知子さんの勢いのある声に、私は後退りしそうになった。手入れ