木野龍逸の「ニッポン・リークス」
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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2015/11/19(No.036)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
撮影、録音、録画は全面禁止──甲状腺学会の市民公開講座は秘密会議?
2.ニュースにひと言
3.編集後記
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1.市民公開講座で市民の質問を無視する司会の山下俊一氏──甲状腺学会の秘密会議色がこわい
<撮影、録音、録画禁止の市民公開講座>
2015年11月5日〜7日に福島県文化センターで開かれた「第58回日本甲状腺学会学術集会」(会長・鈴木眞一福島県立医科大学教授)の最終日、午後2時に市民公開講座が開催された。テーマは学術集会の主題と同じく「放射線と甲状腺、震災後4年半を経て」だった。
県民健康調査の甲状腺検査の結果、8月31日までに137人が悪性または悪性疑いと診断され、そのうち105人は手術で悪性と確定している。地元の人たちにとって表題のテーマは関心事であるはずだった。
始まる少し前に会場に入ると、まず目に入ったのは、プレゼンテーション資料を投影するステージの大型スクリーンに映し出されている、カメラやICレコーダーのイラストに「バツ印」をつけて「撮影・録音・録画 禁止」と大きく書かれたルール表記だった。誰でも自由に入ることのできる市民公開講座には似つかわしくない情報統制だった。
加えて、講演に関する資料は1枚も配布されなかった。まるで裁判の傍聴に来たような気がした。いや、裁判所でも冒頭に裁判長の写真くらいは、メディアなら撮影ができる。それすらも、ここでは許されていなかった。
いわゆる秘密会議とは、こういうものなのかもしれない。そういえば県民健康調査(当時は県民健康管理調査)では、表の会議の内容を事前にすり合わせる秘密会議が問題になったなあ、などという思いが脳裏をよぎった。
公開講座では、座長を長崎大学副学長でもある山下俊一氏と、福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座の鈴木眞一氏が2人で務め、壇上で小さな机に肩を並べて座っていた。最近は、こうして2人並ぶことはめったにない。貴重な光景だったが、撮影禁止だったので記録はできなかった。前日の学術会議では、撮影をとがめられ、講演後に映像を消すよう迫られていた人もいたのだ。
演題は、まず今回の学術集会で甲状腺の臨床研究について所属医師が発表をした野口記念病院(大分県)の、内科統括部長を務める村上司氏が「甲状腺の働きとその異常」について説明。次に県民健康調査検討委員会の委員でもある日本医科大学名誉教授の清水一雄氏が「外科の立場から見た甲状腺疾患」をチェルノブイリ原発事故後の検診経験を踏まえて語った。
さらに、事故直後に福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーに就任した長崎大学原爆後遺障害医療研究所の高村昇氏が「放射線被ばくと甲状腺」として主に福島県での内部被曝の状況について説明。最後に福島県立医科大学広報コミュニケーション室長で特任教授の松井史郎氏が「震災後の住民とのコミュニケーションの形」と題して、これまでの県立医科大学の住民への広報対応について説明した。
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