新時代のレプリカント映画は、中国との冷戦という極めて今日的なテーマから生まれました。
来たるべき未来と、かつてのように繰り広げられるテクノロジー開発競争。そこから生み出される「生命」という存在――近未来SFスリラー『ザ・マシーン(原題)』は、新たなレプリカント神話となりえるのでしょうか? 初公開された予告編は、かなり魅力的で、期待度高めな感じです!
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「冷戦」といえば、ゼロ年代を生きた我々にとっては、遠い過去のことのように感じられるかもしれません。しかし、50~60年代のSF映画には、冷戦構造における社会情勢を投影した作品が数多く見られました。
スタンリー・キューブリックの『博士の異常な愛情』も、米ソ冷戦下の核の恐怖をテーマとしていますし、硬派な作品から娯楽作品にいたるまで、そうした作品は枚挙に暇がありません。
単純なエンターテインメントのように見えながら、その裏側には深遠なテーマを含んでいるというのが、良質なSFの1つの基準といえるでしょう。
そんなわけで、映画『ザ・マシーン』は、かつての「暗いSF」のイメージを現代によみがえらせたという点はもちろん、きわめて現代的なテーマを描いているという意味でも、注目すべき作品であるといえそうです。
『ザ・マシーン』の主人公は、中国との新冷戦下の貧困世界で、科学による新たな生命を生み出そうとする科学者、ヴィンセント・マッカーシー。イギリス国防相に所属する彼もまた、かつてのスペース・レースのように兵器開発競争に組する人物の1人でした。
マッカーシーは、自らが牽引するサイバネティクス技術と、高度に進化したAI(人工知能)を融合させ、完全に人を模倣するアンドロイド「AVA」を生み出すのですが......。
今作の監督を務めたCaradog Jamesさんは、脚本も担当。ディストピアSFの金字塔『ブレードランナー』の世界観を大いに意識しているようです。
前時代的なようでいて、極めて近代的なテーマをもとに描かれる映画『ザ・マシーン』。コンセプトはシンプルに感じられますが、裏を返せば、それが普遍的なテーマを持っているということ。特に中国との冷戦時代という設定は、サイエンス・フィクションとして実に今日的で、シリアスなものであるといえるでしょう。
事実、今作はトライベッカ映画祭で公開されるや反響を巻き起こし、多くのメディアで高い評価を得ています。
なお、主人公のヴィンセント・マッカーシーを演じるのは、『007 ダイ・アナザー・デイ』で、ボンドの宿敵グスタフ・グレーブス役も強烈だったトビー・スティーブンスさん。そして、アンドロイド「AVA」役には、TVドラマ『ARROW/アロー』第2シーズンからブラックキャナリー役としても出演を果たした、ケイティ・ロッツさんをキャスティング! 今後要注目の女優さんかもしれません。
映画『ザ・マシーン』は来年3月にイギリスでの公開が予定されていますが、現在のところアメリカ公開は未定。日本での公開も未定となっています。これはぜひ観てみたい! 日本での公開を期待しましょう!
The Machine Trailer [YouTube]
THE MACHINE [Red & Black Films]
The Machine [Facebook]
"THE MACHINE" (Tribeca Movie Review) [Fangoria®]
(キネコ)
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