七月七日。灰色の厚い雲が海原を覆い尽くしていた。連日の雨で走るのは一週間振りだった。海からの強い風が陸に向かって吹きつけていた。高い波頭の上をロングボードと一体化したサーファーが滑り降りて来る。あんな風に自然と歩調を合わせることができたら、少しはこの陰鬱な気持ちも晴れるのだろうか。去年亡くなった父の故郷である九州を思った。ぼくを大人へと育ててくれた東京の街を思った。思えば思うほど心が目の前に広がる灰色の雲と歩調を合わせていくような気がした。