子どもの頃に受けた映画『猿の惑星』のラストシーンの衝撃は今も僕の胸にはっきりとした傷跡を残している。

 宇宙の果てを目指す航海で不時着した未知なる惑星。船長のテイラーがそこで見たのは原始生活を送る人間が武器を手にした猿に支配される姿だった。なぜそんな非人道的なことをするのかと問う彼に対して「人間は災いをもたらすからだ」と言葉少なに目を背ける猿。その言葉の意味を彼は海岸の遺跡で知る。核戦争の果てに破滅した人間の文明。有名な朽ち果てた自由の女神像である。彼はようやく気づいたのだ。
「ここは地球だったんだ!」
「人間はなんて取り返しのつかないことをしでかしてしまったんだ!」
 同胞の愚かさと罪に血のような涙を流す彼は、何ら疑いを抱いていなかった人間社会の愚かさに初めて気づかされた僕自身だった。