やわらかな春の陽射しが降り注ぐ日曜の午後だった。妻とビーチクリーンを兼ねた散歩に行った娘が帰ってくるなり僕に言った。
「つむちゃん、夢が見つかったよ」
「どんな夢?」
「あのね、つむちゃんね、海の会社を作るの。そして、海をキレイにするの」
 昨晩の大時化で浜辺にはいつも以上の漂着ゴミが打ち上げられていたそうだ。拾っても拾い切れないゴミをなんとかしなければという思いが会社を作るという考えに繋がったのだろう。
「それは、すばらしい考えだと思うよ」
 僕は言った。そして感謝した。人類が直面している環境問題を子どもたちが自然と学ぶことのできるこの海辺の暮らしに。同時に反省した。子どもたちにそんなことを背負わせなければならないことを。「会社って誰でも作れるんだよ。子どもでも作れる」
「そうなの?」
 彼女の言っていることは単なる夢物語ではない。さらに時代の潮流とも合致している。