窓越しの赤い屋根でウグイスが囀っている。リズムも音程もウグイスの手本のようなホーホケキョ。今年初めて耳にする囀りだった。その向こうには煌めく海が広がっている。海辺には満開の桜。富士山を覆う春霞。窓辺にいるだけで汗が吹き出してくる陽射しの眩しさに耐えかねてベランダに出ると、そこには花冷えの冷気が漂っていた。冬の冷たさと夏の陽射しのアンサンブルが春を奏でているのを実感する。そろそろベランダで夕暮れの海を眺めながらの食事が気持ち良い季節だ。