秋晴れの日曜日、凪の海を横目に原稿を書いていた。娘と江ノ電に揺られている妻から写真が届く。向かっているのは以前から娘が行きたいといっていた江ノ島水族館だ。一緒に行きたかったが、どうしても書き上げねばならない原稿があった。今日中に書き上げないと多くの人の翌日からのスケジュールが変わってしまう。前日までに書き上げるつもりでいた。だが、テストの答案と同じで答えがわからないことには書くことができない。工場の製造ラインのように決められた時間内に指定された個数が作れるという仕事ではない。それでも書き上がらなかったことは一度もないのだからそれを信じてワープロの前で書いては消してを繰り返しながら少しずつでも前に進むしかない。

「刹那居季節」
この記事の続きを読む
ポイントで購入して読む
※ご購入後のキャンセルはできません。 支払い時期と提供時期はこちら
- ログインしてください
購入に関するご注意
- ニコニコの動作環境を満たした端末でご視聴ください。
- ニコニコチャンネル利用規約に同意の上ご購入ください。
新着記事
- 「いつから集まるのに理由がいるようになったのだろう」 2日前
- 「夏蜜柑は冬に色づく」 4日前
- 「満員電車が嫌いな一番の理由」 1週間前
- 「静か過ぎる夜だった」 1週間前
- 「飛び方を知らない鳥は自由に飛ぶ」 1週間前