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「刹那居季節」
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「刹那居季節」

2022-10-21 07:00

     秋晴れの日曜日、凪の海を横目に原稿を書いていた。娘と江ノ電に揺られている妻から写真が届く。向かっているのは以前から娘が行きたいといっていた江ノ島水族館だ。一緒に行きたかったが、どうしても書き上げねばならない原稿があった。今日中に書き上げないと多くの人の翌日からのスケジュールが変わってしまう。前日までに書き上げるつもりでいた。だが、テストの答案と同じで答えがわからないことには書くことができない。工場の製造ラインのように決められた時間内に指定された個数が作れるという仕事ではない。それでも書き上がらなかったことは一度もないのだからそれを信じてワープロの前で書いては消してを繰り返しながら少しずつでも前に進むしかない。

     
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