渋谷に降り立ったのは、夜だった。
 春の嵐に傘やコートの裾を巻き上げられながら夜の街を歩いていく大勢の人々。前日に東日本大震災から13年を迎えた中で胸に去来したのは「それでも東京の夜は明るいんだな」ということだった。