とめどなく噴き出す汗が土の上に滴り落ちる。根が吸い上げた水分が茎や葉から気化し続けているせいで辺り一面がスチームサウナみたいだ。見上げた夏空には雲ひとつなく、太陽から逃れることができない。ふいに肌を焼くその光が8分前に放たれたものだという話を思い出した。つまり、たった今、太陽が燃え尽きたとしても、あと8分は地獄のようなこの暑さが続くわけだ。この炎天下で8分も身体が持つだろうか。思わず里芋の大きな葉を引っこ抜いて、ジブリ映画のように日傘にしたいという欲求に駆られるが、土の中芋が食卓に上った時のことを思うと、それもできない。
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