夜風の中にその気配を感じたのは、おとといのことだ。

 家に帰ってから改めてその気配を確かめようと、シャワーを浴びて、冷えたビール片手にベランダに出た。夜の海が静かに凪いでいた。鈴虫が鳴き始めていた。ビールで喉を潤してから、吹き抜けてゆく夜風を確認するように肌で味わう。やっぱりそうだ。