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マクガイヤーチャンネル 第138号 【科学で映画を楽しむ法 第5回「『大長編ドラえもん』と科学 藤子・F・不二雄とSF その5 『のび太と竜の騎士』】
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マクガイヤーチャンネル 第138号 【科学で映画を楽しむ法 第5回「『大長編ドラえもん』と科学 藤子・F・不二雄とSF その5 『のび太と竜の騎士』】

2017-09-27 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第138号 2017/9/27
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    前回の放送「最近のマクガイヤー 2017年9月号」は如何だったでしょうか?

    またもや虹野ういろうさんに出演して頂き、『エイリアン:コヴェナント』『ダンケルク』の話題で盛り上がりました。

    まさか大根仁の話があんなに評判が悪いとは思いませんでしたが、自分は好きなので、これからも話題にしていくつもりです。




    マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。


    ○10月7日(土)20時~

    「がんと免疫療法とがんサバイバー」

    現在、日本人の死因第一位は悪性新生物――すなわちがんです。

    がんの治療法としては、これまで手術、放射線療法、化学療法が3本柱とされてきました。

    近年、新たな柱として注目されているのががん免疫療法です。免疫療法といえば、怪しい治療法がまかり通っていましたが、免疫チェックポイント阻害剤の劇的な効果がイメージを一身しました。

    そこで、がんと免疫療法の歴史とメカニズムについて2時間じっくり解説する放送を行ないます。

    渡辺謙、宮迫博之といったがんサバイバーはなぜ不倫するのか問題にも触れたいところです。



    ○10月21日(土)20時~

    「最近のマクガイヤー 2017年10月号」

    いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

    詳細未定



    ○11月前半(日程未定)20時~

    「ジャスティス・リーグのひみつ」

    11月23日よりDCエクステンデッドユニバース(DCEU)の新作であり、期待の大作映画でもある『ジャスティス・リーグ』が公開されます。

    しかしこのDCEU、前作である『ワンダーウーマン』はヒットしたものの。ライバルであるMCUに比べて勢いがありません。それどころか、テレビドラマやカートゥーンでのDCコミックス映像化作品に比べても元気がありません。

    そこでこれまでのDCコミック諸作品を振り返りつつ、映画『ジャスティスリーグ』やDCEUの今後について占いたいと思います。

    果たしてグリーンランタンや、マーシャン・マンハンターや、はたまたブノワビーストは出るのか?

    ブースター・ゴールドやプラスティックマンの登場まで、暗い夜と光線技アクションシーンの我慢を強いられるのか?

    ジョス・ウェドンは独占禁止法に違反しないのか

    ……等々、ジャック・カービーやニューゴッズの話題も交えつつ、様々なトピックで盛り上がりたいと思います。




    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第5回として書いている「『大長編ドラえもん』と科学」その5として、『のび太と竜の騎士』の解説になります。

    (基本的に、藤子・F・不二雄が100%コントロールしていると思しき原作漫画版についての解説になります)。


    ●マンネリズムとの戦い

    『のび太と竜の騎士』は『大長編ドラえもん』シリーズにおける8作目の作品となります。8作目といえば、どんなに優れた作品シリーズでも、そろそろマンネリズムが影をみせはじめる頃です。本作も、モチーフの一つである「恐竜」は1作目の『のび太の恐竜』とかぶっています。

    ですが、本作は8作目にしてシリーズに新しい要素や展開を入れた結果、新しい地平を切り開いた作品といえます。


    本作は、迷い込んだ地底世界で独自の文明を築いていた恐竜人たちと出会い、なにか企んでいそうな恐竜人の秘密を探ろうとするものの……という、中盤まではこれまでのシリーズと似たような展開をみせますが、決定的に異なる(しかしながら前作『鉄人兵団』を発展させたような)結末を迎えるのです。



    ●導入部におけるスネ夫の活躍

    大長編ドラはどの作品も導入部が優れていることで知られていますが、本作はその白眉といっていいでしょう。


    空き地にて、現在もどこかに恐竜が生き残っているかどうかについて語り合っている4人。議論しているのはのび太とスネ夫の二人で、ジャイアンとしずかちゃんはあくまでも中立の立場で、議論の内容次第でどちらに賛同しようか決めようとしているところが、どこまでも理知的な藤子・F・不二雄作品らしいところです。

    広い地球にはどこかにまだ恐竜が生き残っているはず、と主張するのび太に対して、スネ夫が繰り出す反論がキレキレです。


    まず、ネス湖のネッシーやアフリカのモケーレ・ムベンベ等のUMAを例に挙げるも、科学者を中心とした探検調査がこれまで行なわれてきたことを例に出します。

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    「ざんねんながら、ちゃんとした調査でちゃんとしたしょうこがみつかったことは、ただの一度もないんだよね」

    「そんなでっかい怪物たちが世界のあちこちで何千万年もの間生きつづけてきたとすれば……骨の一本や二本みつかるのがあたり前だろ

    それがどうだ、みつかるのは化石ばっかり! それも六千五百万年以前のものに限られているとなれば……

    こりゃやっぱり一匹のこらず絶滅したと考えるしかないんじゃないかな」

    思わず同意してしまうジャイアンとしずかちゃん。


    つまり、スネ夫が言っているのは「ファクトもエビデンスもない」の一言につきます。

    科学的なエビデンスがなければなにもはじまらない――これは、科学における基礎的な考え方の一つです。

    ファクトとエビデンスが無ければ、都知事どころかスネ夫も、ジャイアンも、しずかちゃんも説得・納得させられない――という、あたり前のことを示しているのです。


    この種の解説は、これまでの作品であれば出木杉くんやドラえもんが担当していました。

    しかし、本作ではスネ夫が担当していることに意味があります。ドヤ顔で恐竜の絶滅を語ったスネ夫ですが、なんと幻影とも実在ともつかぬ恐竜の影を目撃してしまうのです。それも二度も。

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    しかもこの影、いかにもネッシーやモケーレ・ムベンベを想像してくれという形なのが、気が利いています。

    すっかり疑念にかられたスネ夫は、どうにかして恐竜の影の正体をつきとめようとし、これが地底の恐竜人文明発見の契機となります。日常生活から非日常世界への移行を自然な流れと少ないページ数で達成する、完璧な導入部です。


    惜しむらくは、後半スネ夫が全く活躍しなくなることです。

    スネ夫が最後の大バトルを終結させるきっかけを思いつくとか、誤解の解消にこだわる一言を発するとか、なにか活躍の場があれば、夢も希望も無かったイヤなオトナコドモのスネ夫が成長する物語が成立し、もう一段上のレベルの作品になったかもしれません。



    ●地底旅行とクラフト要素の愉しさ

    本作の地底探索には、一応元ネタがあります。

     
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