おはようございます。マクガイヤーです。
今年の夏は久しぶりに旅行に行こうと考えておりまして、色々と計画を練っています。
どうしても死ぬ前にギーガー博物館に行きたいんじゃ!
……と、色々と調べていると盛り上がってきてしまいました。なんか、こういう時が一番楽しいような気もします。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
○6月9日(土)20時~(放送日が変更になりました。ご注意ください)
「『デッドプール2』とXフォース」
6/1より傑作コメディにしてスーパーヒーロー映画『デッドプール』の続編『デッドプール2』が公開されます。
本作は『インフィニティ・ウォー』に引き続いてアメコミヒーロー映画に出演するジョシュ・ブローリンがケーブルを演じたり、X-フォースの結成が描かれたりすることがアナウンスされています。
ただ、自分はケーブルやX-フォースに関してほとんど知識がありません。
そこで、ゲストとしてアメコミ翻訳家の御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)を再度お招きして、ケーブルやX-フォースについて解説して頂く予定です。
○6月30日(土)20時~
「しまさんとマクガイヤーの推しNetflix」
Netflix、Hulu、dTV、U-NEXT、Amazonプライム・ビデオ……と、様々な動画配信サービスをネットで愉しむことができる昨今ですが、大きな問題があります。
それは、「配信されるコンテンツが多すぎてどれから観れば良いのか分からない」もしくは「面白いコンテンツを見逃してしまう」といった悩みです。
そこで、編集者のしまさんとマクガイヤーが、Netflix配信ラインナップから独断と偏見で「推し番組」を紹介し合い、魅力を語り合います。
久しぶりのしまさん出演回です。乞うご期待!
○7月7日(土)20時~「最近のマクガイヤー 2018年7月号」
最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
詳細未定
○7月28日(土)20時~「ゾイド大特集」
2018年6月より、久しぶりの「ゾイド」新シリーズである「ゾイドワイルド」の展開がアナウンスされています。6/23頃から新しいキットが発売される共に、7/7より新アニメ『ゾイドワイルド』も放送されるそうです。
ゾイドといえば昭和の一期と平成の二期それぞれで大人気を誇ったシリーズですが、いよいよ復活して三期目の歴史を紡ぐことができるのかどうか、メカボニカやスタリアスの頃から親しんでいた自分としては、気が気ではありません。
そこで、これまでのゾイドの歴史を振り返ると共に、ゾイドの魅力について語る放送を行ないます。
今回は主に昭和ゾイドについて語ることになります。
ゲストとして、YouTube動画などで活躍しているじろす(https://twitter.com/jiros_zoids)さんに出て頂く予定です。
虹野ういろう(https://twitter.com/Willow2nd)おじさんもきっとまた出てくれるよ!
○Facebookにてグループを作っています。
観覧をご希望の際はこちらに参加をお願いします。
https://www.facebook.com/groups/1719467311709301
(Facebookでの活動履歴が少ない場合は参加を認証しない場合があります)
○コミケで頒布した『大長編ドラえもん』解説本ですが、↓で通販しております。ご利用下さい。
https://yamadareiji.thebase.in/items/9429081
さて、今回のブロマガですが、5/26に行なった「石ノ森ヒーローとしての『仮面ライダーアマゾンズ』」
の補講のようなことを書かせて下さい。
●石ノ森ヒーローと「原作」
『仮面ライダー』以外にも『人造人間キカイダー』、『ロボット刑事』、『変身忍者嵐』、『イナズマン』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『サイボーグ009』と、東映あるいは東映動画により映像化された石ノ森章太郎作品は数多くあります。
その中でも、『サイボーグ009』のように原作が先にあり映像化されたものと、『仮面ライダー』や『キカイダー』のように東映での番組企画段階から作り手の一人として製作に参加し「原作」とクレジットされているものの間には、明確な差があります。
前者は自分の原作通りの映像化を望む一方、「原作」というクレジットながらもあくまでスタッフの一人として参加している後者の場合は、当初の企画を基にしてどのように映像化あるいは他人によって漫画化されても構わないという鷹揚なスタンスでいるのです。自身も、『ひみつ戦隊・ゴレンジャーごっこ』のような下ネタ満載のパロディ作品を描いたり、木梨憲武に対して「『仮面ライダー』をパロっていただきまして、ありがとうございました」と発言したりしています。後者は、当時の東映側のプロデューサーである吉川進が『仮面ノリダー』に不快感たっぷりのコメントしていたにも関わらず、です。
他方、『ロボット刑事』や『イナズマン』などでは、「ロボットに対する市井の人々の差別」「実の母親の登場と爆死」「(育ての)両親の爆死」等、原作以上にシリアスな展開をみせます。
自分が最も印象的なのは『仮面ライダーBLACK』の原作である『仮面ライダーBlack』です。初期数話では改造人間の悲哀が描かれたものの、あくまでも「特撮ヒーロー番組」の範疇にとどまるテレビ版に対して、バッタ男でしかない主人公をもう一度味方に引き入れる、もしくは抹殺するために、親友の彼女、お手伝いさん、近所の子供……といった身内が改造人間となって送り込まれてきます。主人公は彼ら彼女らを断腸の思いで返り討ちにするわけです。このハードさ! 更に終盤では、核戦争後のポストアポカリプスな未来に送り込まれるばかりか、人類滅亡後の支配者は自分なのかもしれないという疑念まで生まれます。
●石ノ森ヒーローの特徴
中学生の時分にはじめて『仮面ライダーBlack』を読んだ自分は、テレビとの違いにびっくりしてしまったのですが、その後様々な石ノ森漫画を読んで納得しました。
石ノ森章太郎が、特に70年代に、ヒーロー番組の「原作」として描いた漫画には幾つかの特徴があります。
・ヒーローと敵は同じ力で産み出された存在である
・ヒーローは「正義」や「○○人類」のためではなく、弱者を守るために――「人間の自由」のために戦う
・ヒーローには力を授けてくれた存在(「親」や「神」や同族)を裏切り、殺していく、孤独や哀しさがある。
石ノ森ヒーローの目から下に向かって涙が流れるようなデザイン――いわゆる「涙ライン」は、このような孤独や哀しさを著しているという説があります。
漫画では変身前も、血管のような形で描かれることがあります。
これは、歌舞伎の隈取そっくりです。
石ノ森自身が「涙ライン」への上記のような意味づけを意識していたかどうかは微妙ですが、石ノ森以外が「石ノ森ヒーロー」をデザインする際、「涙ライン」の解釈は重要な要素となります。
ライダーもキカイダーもサイボーグたちも、同じ改造人間やロボットやサイボーグたちと戦うわけですが、幾つかの作品では終盤になってくると同じような展開を迎えます。
・人類の中から新しい力(たいてい超能力)を持った集団が生まれる、もしくは神が望んだように人類は成長しなかった
・旧人類と新人類、もしくは神と人類の間で争いが起こる
・ヒーローはこれら2種族の架け橋となる、あるいは弱者の側につく
連載中断された『009』の『天使編』や『神々との闘い編』はこのような話となるはずでした。『神々との闘い編』の直後に連載された『リュウの道』は、『猿の惑星』そっくりな導入部ではじまるものの、『続・猿の惑星』のような異種族同士の対立の末の破滅ではなく、主人公リュウが新人類と旧人類をまとめるリーダーとなる話でした。『イナズマン』では、超能力を使う武闘派テロ集団である「新人類帝国」と、穏健派であり旧人類との共生を求める超能力者集団である「少年同盟」との闘いが描かれました。「リュウ三部作」の最終作である『番長惑星』は、パラレルワールドである「もう一つの地球」に遷移した後、超能力を使えるようになった主人公が仲間たちを集め、「影」と呼ばれる神のような悪魔のような存在と闘うという話でした。しかもその「影」は(またしても)人間を作った存在だったということが分かります。
とにかくこの時期の石ノ森漫画に頻出するのは「超能力を使える新人類」「人類を作った宇宙人としての神」「二つの種族の戦い」「戦いを止めようとするヒーロー」です。
同じような構造が繰り返されたのには理由があります。
一つは、ベトナム戦争です。
より正確にいえば、ベトナム戦争に対する反戦運動はソンミ村虐殺事件が報道された1968年から激化しましたが、発展途上国にとって「神」のような資本と軍隊を持つ大国アメリカの正義無き戦争が、石ノ森漫画や石ノ森ヒーローに与えた影響は大きいものでした。
もう一つは、当時のオカルトブームです。
73年に発表された五島勉の『ノストラダムスの大予言』も小松左京の『日本沈没』も大ヒットしました。公害は深刻な社会問題でしたし、学生運動のデモや爆弾テロのニュースが日常的に報道されていました。冷戦による核戦争の恐怖も当然ありました。
そんな中、SFマニアだった石ノ森章太郎はエーリッヒ・フォン・デニケンが著した『未来の記憶』を読み、見事にハマります。デニケンが提唱する、超古代に宇宙人が地球に飛来し、人間を創造したという「古代宇宙飛行士説」を自作の漫画に取り入れます。デニケンが「神」の証拠として『未来の記憶』で紹介しているデリーの鉄柱やピラミッド建築の困難さを『神々との闘い編』で引用していたりもします。
ただ、「古代宇宙飛行士説」は石ノ森にとってオカルトというよりも、「神」の合理的説明だったのです。だからこそ、石ノ森漫画では必ず「神」としての宇宙人を乗り越えるという展開になります。どのように乗り越えるかというと、人間の内なる力を更に発展させた「超能力」なのですが、これは「外宇宙より内宇宙をめざすべき」というニュー・ウェーブSFの影響があります。
さらにもう一つは、石ノ森にとっての漫画家という職業が、「新人類」的なものだったという価値観です。
石ノ森は当時のトキワ荘漫画家には珍しく、漫画家になることを両親から反対されていた過去を持ちます。後年、赤塚不二夫や藤子不二雄双方の母親が上京して息子の漫画家活動をサポートする中、石ノ森の身の回りの世話をするために上京したのは家族の中で唯一漫画家になることを応援してくれた姉でした。実の母親は三ヶ月に一回だけ上京し、洗濯だけして帰郷したそうです。
超能力を持つ新人類が権力を持ち保守的である「神」に迫害を受けるという構図は、超能力のような力で漫画を描く力を持つ若き漫画家たちが両親に代表される保守的な権力から迫害を受ける――そのような石ノ森の漫画家としての立ち位置を反映しているのかもしれません。
●ショッカーとマイナンバー
そう考えると、有名な漫画版『仮面ライダー』の「10月計画」は意義深い話に思えてきます。
漫画版『仮面ライダー』の終盤、10月発売の格安テレビと格安腕時計から発生させる超音波、それを制御する電波塔と巨大コンピューターで人間を奴隷化しようという「10月計画」を止めようとする仮面ライダーは、ショッカー幹部であるビッグマシンから「10月計画」の恐るべき真相を聞きます。