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マクガイヤーチャンネル 第401号 2024/1/24
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おはようございます。マクガイヤーです。

この前正月休みかと思ったら、もう1月も終わり。月日が経つのは早いものです。こんな感じで一年がまた過ぎていくのかと想像すると、恐怖を感じてしまいます。



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇1月29日(月)19時~「『ダンジョン飯』と真面目な漫画家 九井諒子」

2024年1月よりアニメ『ダンジョン飯』が放送されます。九井諒子による漫画『ダンジョン飯』を2クールかけてアニメ化するそうです。

原作漫画『ダンジョン飯』は2014年2月から2023年9月にかけて、「ハルタ」で連載されました。主にコミティアやpixivで活動していた九井諒子が『ひきだしにテラリウム』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した後、初の連載作品になります。誰もが思いつく『ウィザードリィ』的なファンタジー的世界観+グルメ漫画というネタを、九井諒子ならではの漫画やファンタジーに対する真面目さと真摯さで描き、大ヒットしました。原作がきっちり完結した後でのアニメ化も、作品や作者の生真面目さを感じてしまいます。

そこで、『ダンジョン飯』と九井諒子の魅力について解説するような放送を行います。

ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。



〇2月12日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2024年2月号」

・時事ネタ

『勇気爆発バーンブレイバーン』

『PERFECT DAYS』

『ファースト・カウ』

『マエストロ:その音楽と愛と』

『哀れなるものたち』

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』

『映画 ◯月◯日、区長になる女。』

『コンクリート・ユートピア』

『エクスペンダブルズ ニューブラッド』

『笑いのカイブツ』

『アクアマン/失われた王国』

『カラオケ行こ!』

『ゴールデンカムイ』

『みなに幸あれ』

『緑の夜』

『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』

『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』

『フジヤマコットントン』

その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



〇2月25日(日)19時~「『ウルトラマンブレーザー』の挑戦と限界」

昨年7月より放送されていた『ウルトラマンブレーザー』が1月に最終回を迎えます。

「ニュージェネレーション」と呼ばれる一連のシリーズとは映像的にもお話的にも異なることに挑戦しようとした、新しい「ウルトラマン」でした。一方で、いまテレビでウルトラマンをやることの限界がみえてきたような気もします。また、2月23日に映画『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』が公開される予定ですが、同じく田口清隆がメイン監督であった『ウルトラマンZ』の劇場版が公開されなかったこともあり、どのようにテレビとは異なる映画になるのか楽しみでもあります。

そこでテレビと映画両方の『ウルトラマンブレーザー』について解説するような放送を行います。

ゲストとして友人のナオトさん(https://twitter.com/Triumph_march)をお迎えしてお送り致します。



〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。





さて本日のブロマガですが、昨年末から話題の松本人志について書かせて下さい。



●芸人とカキタレ

週刊文春で報じられたダウンタウン松本人志の「性加害疑惑」騒動、それに続く活動休止を目にして複雑な気持ちを感じています。


性加害や性的行為強要が本当にあったかどうかについては今後の裁判を待つしかありませんが、後輩芸人が女性をアテンドするパーティーをしていたこと、性行為があったことは、事実のようです。


これを受けて、今後数年間、あるいは永遠にテレビに出られないのではないかとも思いますし、被害を訴えている女性たちには裁判の結果の如何に関わらず寄り添うべきだと思います。


2,30年前……そう、自分は90年代にティーンエイジャーでしたが、はっきりいってお笑い芸人としての松本信者でした。『ガキ使』のフリートークを録画し、『ごっつ』で「お笑い」が毎週毎週更新されていくのを興奮して観ていました(あくまでテレビのお笑いでしたが)。『松本』や『遺書』は熟読しました。

ゼロ年代以降、というか『ごっつ』終了以降、だんだんと冷静になっていき、映画を二作、三作と発表していくに連れて、お笑い界そのものを楽しむようになっていったのですが、自分と同世代で、『ガキ使』のフリートークや松本人志の著書に触れ、彼が若い頃にどんな遊び方をしていたか想像がついている方も多いと思います。

若手芸人が先輩のために女性を集めて飲み会を開催する。そういった慣習は芸能界で長く続いてきました。だから「カキタレ」という言葉が江戸時代から最近まで生き残ってきたわけです。しかし、時代とともに「女遊びは芸の肥やし」といった旧世代の価値観は見直され始め、芸人のスキャンダルが厳しく叱責される機会も増えてきました。

松本人志も、結婚以降はそのようなプライベートを発信するのは控えており、世の中というかテレビで許容される「遊び」の話が変わっていくと共に、松本も若い頃と同じような「遊び方」をしなくなっていたのだろうと皆思い込んでいたのですが、そうではなかったということになります。故に、複雑な気分です。


●90年代初頭のテレビのお笑い

裁判が何年かかるか分かりませんが、スポンサーやコンプライアンスの問題で、今後テレビにはまず出られないことは確定したのではないかと思います。ということは、お笑い界におけるダウンタウンというか松本人志の時代はほぼ終わったということになります。

ただ、これをもって「昔から面白くなかった」とか「皆、嫌いだった」という評価になるのには大いに違和感があります。日本のお笑いを明確に変えた一人だからです。

ダウンタウンがお笑い界に決定的な役割を果たしたのは90年代、88年の『夢で逢えたら』を足掛かりに、『ガキの使いやあらへんで(89~)』『ごっつええ感じ(91~97)』で東京進出を果たし、彼らの笑いが全国に放送されるようになったのがきっかけです。

『ごっつ』が始まるまでの経緯や雰囲気は強く印象に残っています。当時、バラエティー界の覇者は『みなさんのおかげでした』等でブイブイいわせていたとんねるずと、『元気が出るTV』で軍団を使って無茶なことをやりまくっていたビートたけしでした(自分が好きだったドリフ、というか志村けんは、上記二組に比べて低年齢層に向けた番組作りをしていました)。

ダウンタウンの笑いは、とんねるずの学生がノリだけでその場を盛り上げるような笑いや、たけしという家父長の下で上下関係がきっちり決まっているたけし軍団のパターナリズムでホモソーシャルな笑いとは明確に異なっていました。


●フリートークの革命者

以下、首都圏でテレビを観ていた自分から観たリアルタイムでのダウンタウンの笑いの新しさについて記します(関西ローカルでテレビを視聴していた人とは全く見方が異なるはず、ということを念頭に置いて下さい)。

まず、『ガキ使』でやっていたフリートークが目茶目茶新しく、かつ面白かったわけです。

当初『ガキ使』は、ダウンタウンの漫才やコントを放送していましたが、ほどなくしてフリートークに切り替わりました。彼らの漫才がどれだけのものだったかは『ダウンタウンの流』を観ると分かります。ここに納められた3本の漫才は30年以上経った今の視点からも恐るべき完成度で、(M-1全盛の今からは想像できないかもしれませんが)80年代初頭から続く漫才ブームが終焉していたこともあり、おそらくこれで漫才を「卒業」してしまったのでしょう(一方で、『流』に収められたコントは完成度が低いのです、後の『ごっつ』と共通する異形さがあります)。

『ガキ使』のフリートークで印象的だったのは、やはり松本人志の即興です。たとえば松本が(時にハガキきっかけで)「オタマジャクシとカエルの間は”素”」とか「山登りに必要な道具“ジョッパー”」とかいった、明らかにウソを分かることを口にします。これに浜田が怒涛のごとく突っ込み、松本が時にしどろもどろ、時に更なる嘘でつじつまを合わせる……といったものです。一人で大喜利のお題を出し、一人で答え、浜田がつっこんで更に話を広げていくわけですが、これが死ぬほど面白かったわけです。(鶴瓶も『パペポTV』で「死ぬほど笑うやんか」と激賞しており、同業者が褒めるなんて相当だなと思ったものです)。

自分が使っている「マクガイヤー」という名前も、このフリートークで松本人志が「俺の知り合いにマクガイヤーという冒険野郎がおってな……」から頂いてしまいました。この時、ドラマ『冒険野郎マクガイバー』は深夜に放送されていることが多かったので、おそらく松本人志も深夜に帰宅後、テレビを点けたら放送されていたのを目にしたのでしょう。プロボクサーの最暴具浩一や、当時都内にどんどん出店し始めたドン・キホーテネタもそのような経緯でトークのネタにしたのだと思います。

また、「クレアラシルのCMで”Dakara!”と英語訛りで日本語を発している外人がイラつく」とか「ラーメン屋のカウンターで椅子が固定されていてテーブルとの間合いを好きなように調節できないとイラつく」とかいった、日常のちょっとした不平や不満を敢えて言語化し(いわゆるイラチ芸の一つです)、これに浜田が「そんな大袈裟な」と突っ込む、というパターンも面白かったです。まだ「あるあるネタ」という言葉が誕生する前でした。


●異形で革新のコント群

もう一つは、『ごっつ』で作り続けていったコントです。合同コント番組だった『夢逢え』からフックアップするような形でウンナンの『誰かがやらねば』の直後に始まったのですが、驚きました。今まで観たことのないコントばかりだったからです。