短絡的で乱暴な措置に驚き、あきれる。憲法が定める「集会の自由」や「表現の自由」を侵害するおそれが大きい。

 東京都新宿区が、街頭デモの出発地として使用を認める区立公園を、これまでの4カ所から1カ所に限ることを決めた。区役所内部だけの検討で「学校や商店街に近接していない」という条件を追加することにして、区議会に事後報告した。

 同区内で行われたデモは昨年度77件あった。うち60件は、今後は使えなくなる三つの公園から出発している。デモがしにくくなるのは明らかだ。

 吉住健一区長は当初、朝日新聞の取材に、ヘイトスピーチ対策に重点を置いた説明をしていた。だが担当部長による議会への報告では、住民の生活環境を守ることが理由とされ、デモ全般の制限を意図したものであることが明確になった。

 77件のうち区がヘイト行為を確認したのは13件で、それ以外は労働、平和、反核などテーマはさまざま