あなたは家族やチームなど、自分以外の仲間のやる気を高めるにはどうすればいいと思いますか?
今回は店舗のリーダーとしてのマネジメントについての相談をもとに、チームや仲間の生産性を高めるマネジメントについて解説させてもらいます。
Q. 店舗のリーダーとして半年が経ちましたがスタッフから舐められるようになりました。伝えたいことを伝えても全然聞いてもらえない状況です。マネジメントにおいて何か対策方法はあるでしょうか?
こちらの本を読んでみてください。
マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
自分の伝えたいことを言っていても、それが数字につながるわけでも営業的にプラスにもならないという場合があります。
これは舐められる上司の特徴です。
上司が何か言っているけれど、そんなことでは売上は上がらないし的を得ていないと感じるわけです。
これはマネージャーとしての基礎能力の欠如です。
マネジメントの前に仕事の勉強が必要です。
もしそうではないとしたら、スタッフから舐められるということは頼りにされていないということです。
頼りにされないリーダーというのは、みんなのモチベーションを上げたりみんなが働きやすくすることができていないリーダーです。
リーダーの仕事ができていないだけです。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
経営にもマネジメントにも科学的な手法が効果的
経営やビジネスを語る上で、そもそもそこは科学が入りうる領域なのか? それとも、経営というものは長年の経験と勘、そして情熱が大事なのでしょうか?
結論としては、科学的な手法がやはり効果的なようです。
もちろん科学だけで全てをカバーできるわけではありませんが、どちらかと言うと経営にも投資にも科学的な観点が欠かせません。
イタリアで創業したばかりの創業者116人を対象に行われた研究があります。
スタートアップの創業者たちに様々な研修プログラムに参加してもらっています。
研修プログラムは2種類に分かれています。
自分の経験則に沿って経営を進めていくプログラムと科学的にある程度検証ができるフレーミングを使って問題と対策の効果を数字で判断するプログラムです。
科学的な検証が行えるプログラムというのは、仮説を立ててデータで検証していくというまさに科学者が行うような手法です。
どの部分を指標にして、どの数字をテコ入れすれば結果が良くなるのか? リサーチサイエンスと言えるような手法について学んでいます。
つまり、経験則に従って経営を行った場合と、数字と検証に基づいて経営を行った場合で、どのように違いが出るのかということを調べたものです。
その後数ヶ月に渡りそれぞれの企業の業績をチェックしたところ、リサーチサイエンス系の創業者が率いるスタートアップの企業は、それ以外の企業よりも新規の顧客の獲得で売上が20%から50%も高くなっていたということです。
ですから、数字に基づいてデータを検証して経営を行う創業者が当然ですが大きな成果を出していたわけです。
特にこれからの時代は経験則だけでは生き抜くことはできません。
今の時代は科学的に数字をとって思い込みを排除している経営者がうまくいきます。
それが科学的な研究でも示されたということです。
もちろん科学で解明できないことはあると思います。
それは科学がまだわかっていない数少ない領域があるというだけです。
僕たちの感覚やなんとなくの経験則というものは、これからまだ十分な時間が必要でしょうが、いずれは科学に乗っ取られてしまうのだろうと思います。
この結果について、研究チームは次のように言われています。
科学のリサーチ手法を使ったグループは、市場の徴候を分析する際にバイアスをうまく緩和して、解釈を間違える可能性を削減することができていたとされています。
人は経験則に頼ると自分のバイアスに引っかかってしまいます。
その結果、後から考えればありえないようなミスを結構しています。
経営でも投資でも取り返しのつかないようなミスをしてしまうことがあります。
それを避けるためには人間の思い込みを取り除く必要があり、そのためには科学の力が必要なのではないかと考えられます。
ビジネスの世界は当然ですが結果が全てです。
どんなに優秀なビジネススクールを出ていても、どんなにいい大学を出ていても、結局数字を出さなければ意味はありません。
ここは科学者とは違うところです。
もちろん科学の世界も実力主義ではありますが、当然ですが、出身大学や経歴によっても評価される部分はあります。
博士号を取っている人の論文と博士号を取っていない人の論文では、当然その存在価値も違ってくることもあります。
ところが、ビジネスの場合には中卒でも高卒でも大卒でも、ハーバード大学で博士号を取得していようが、数字を出すことができなければ終わりです。
ゆえにビジネスの世界というものは科学の世界ととても親和性が高いと思います。
どちらかと言うと、ビジネスの世界の方が科学の世界よりも科学を使って得られるメリットは大きいと思います。
余計なしがらみはありませんし結果さえ出せば勝ちです。
そういう意味で、科学者が分析した結果得られたデータを使ってビジネスをするのが一番賢い方法だと思います。
経営とマネジメントに役立つオススメ本
大抵の場合経営者が書いたビジネス本はバイアスにまみれていて再現性のないものがほとんどです。
科学者の書いた本の中にも、いわゆる机上の空論でビジネスをしたことがない人が書いたものも結構あります。
そんな中で、実際のビジネスで役に立つであろういくつかの本を紹介しておきます。
まず、マネジメントを考える上では絶対に読んでおくべき本がこちらです。
小さな成功を積み重ねることによって人間のモチベーションが上がるということを教えてくれます。
経営をしたり部下を持ったら絶対に読んで欲しい本ですが、自分のモチベーションを高めるためにも役に立ちます。
マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
経営戦略を考える上で最も重要なのはどれだけシンプルに考えるか? ということです。
仕事が速い人の考え方だけでなく、組織や企業がいかにシンプルなルールを使って経営を立て直したかということを学ぶことができます。
SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える (単行本)
戦略論を学ぶ上で絶対に読んでもらいたいのがこちらの本です。
ビジネスや経営戦略にも使えますが、普通に歴史が好きな人にとっても面白いと思います。
ハンニバルが使った戦略などについても触れています。
僕もとても勉強になって何度も読み直した本です。
真のイノベーションについて学べる素晴らしい本も紹介しておきます。
6大陸10カ国から最先端の分野で成功した企業が、どんな戦略を用いていたのかということを教えてくれる本です。
読み物としても非常に面白いですし、これからのビジネスを考える上でもとても役に立つと思います。
ビジネスや経営をする上でとても参考になりますが、副業に挑戦する為にも使えると思います。
DISRUPTORS 反逆の戦略者――「真のイノベーション」に共通していた16の行動
そして、経営を考える上でもマネジメントを考える上でも決断力は重要です。
こちらはDaiGo師匠の本ですが、Amazon の Audible であれば無料体験で聴くことができる対象になっています。
マネジメントに従業員を関わらせると逆効果
経営上の絶対的なマネジメントというものは、当然ですが人によっても違うのでありません。
ですが、これはむしろ逆効果だということが科学的に指摘されていることはいくつかあります。
このようなことばかりをいまだにしている企業は、理不尽な扱いを受けたり経営に問題がある可能性がありますので、逆効果になる手法を知っておくと経営者の質を判断するために役に立つと思います。
例えば、「うちの会社はマネジメントについても積極的に社員の意見を聞いている」というようなことを言っている企業も結構あります。
これに意味があるのかということを調べた研究があり、結論としては逆効果だそうです。
ビジネススクールなどではマネジメントモデルは色々とあります。
その中でも、「充実した職務設計」と言われるマネジメントと「HIM(高関与型マネジメント)」と言われるマネジメントモデルの効果を比較した研究があります。
充実した職務設計
働く人のモチベーションを高めるために、より高いスキルを身に付けることができたら給料も上がり、やりがいがある仕事に繋がっていくモデルです。
HIM(高関与型マネジメント)
経営の意思決定に従業員にも関わってもらうモデルです。
経営者が独断で決めるのではなく、みんなの意見を聞いて従業員にも経営に関与してもらう手法です。
どちらも経験則的には従業員の生産性アップに役に立つと言われてきた手法です。
これが本当に正しいのかということを調べたところ、政治で言う民主主義のように従業員がみんな経営に関わる手法はどうやら逆効果のようです。
研究では、14,127人の従業員と1,177の職場のデータを統計分析して、2つのマネジメントモデルの効果を比較しています。
HIM(高関与型マネジメント)は、確かに労働生産性や財務成績、商品の品質には直接的かつ正の相関が確認されました。
ただし欠勤率には関係がないということが示されています。
モチベーションに対してはあまり関係がないのかもしれません。
さらに、従業員の仕事の満足度と不安感に対してはネガティブな影響があったということも確認されています。
つまり、従業員がみんな経営に関わって進めていくマネジメントモデルは、従業員の仕事への不満や不安の原因になっている可能性があるということです。
全員が経営に関わるというスタイルのマネジメントモデルは、従業員の仕事のストレスを増やしたり仕事の満足度を下げてしまう可能性があるわけです。
会社の行く末を決めるというのは大きなプレッシャーになります。
これに耐えることができる人は経営者になって、それに耐えられない人は誰かの下で働くしかありません。
ですから、そこに下手に関わらせてはいけないのではないかということをこの研究は指摘しているわけです。
一方で、充実した職務設計のようなマネジメントは、労働生産性も企業の財務成績にも、商品の品質にも正の相関が確認されています。
さらに、従業員の仕事に対する満足度にもプラスの影響があったということです。
研究者は次のように言われています。
充実した職務設計のアプローチは、従業員に対して裁量権や多様性、高いレベルの責任感を与えるということです。
要するに、自分が成果を出してレベルアップする度に、そこでの達成感や責任感を感じて、より成長してやりがいのある仕事をできるようにならなければいけないと考えるようになります。
一方で、HIM(高関与型マネジメント)は、機能的柔軟性と言われますが他人の役割の側面を引き受けることが必要になります。
自分も経営に参加しているという意識を持つと、別の役割の人に何かしらの問題があったら、その人の仕事を手伝ったり助けたりすることができます。
まさに経営者目線の柔軟性は生まれますが、自分の能力を超える組織的な貢献を求められるようになってしまいます。
自分の仕事以外のことまで気にしなくてはいけなくなります。
それによって従業員のプレッシャーは逆に増えてしまっているのではないかということです。
自分は独りよがりな経営者になりたくないから、従業員全員に関わってもらい会社の方向性を決めるというのは、確かに言葉としてはとても美しいです。
ですが、実際には経営者が負うべきプレッシャーや不安を従業員に分け与えているに過ぎません。
見せかけの民主主義になっているだけです。
ここから先は、さらにチームや組織のモチベーションを高めて結果を出すためのマネジメントについて詳しく解説していきます。
これについては続きもチェックしてみてください。