あなたは、どうしてもやる気が出ない時に、どんな工夫をしますか?
今回は、仕事に対するやる気を感じないという看護師の方の相談をもとに、ゼロからはかどるやる気の科学について解説させてもらいます。
Q. 看護師として働いていますが、仕事に対してやる気も向上心も感じません。
このままではダメだと思いながら、ただ日々が過ぎて人生に焦りや不安を感じています。こんな自分はダメだと思いつつ何をしたらいいのか分かりません。何かアドバイスをお願いします。
おそらくコロナとは関係ないような気がします。
自分はダメだと考えてしまうというのは、いわゆるバーンアウト:燃え尽き症候群のような状態だと思います。
おそらく医療従事者としてすでにかなり頑張っていると思います。
そんな頑張っている自分は偽物で、本当の自分はダメな人間だと考えてしまいます。
これについてはバーンアウトの対策の動画を参考にしてみてください。
自分がダメなのではなく、そう思ってしまうぐらい磨り減っているということだと思います。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
やる気がなくなるバーンアウトの要因
仕事でも勉強でも、やる気が出れば捗るし成果も出ます。
なかなかやる気が出ないという人が多いと思いますが、やる気が出なくても行動できる方法を知っておいてください。
やる気を出して行動するというよりも、やる気が出なくてもできることについて勉強していただけると、とにかく手をつけて、しばらくやっているとやる気が出てくるということもあります。
本当に慢性的にやる気が出なくなったり、その結果、バーンアウトになってしまう人もいます。
今回はそれを防ぐために、知らず知らずにモチベーションを下げてしまう要因から、バーンアウトを防ぐ方法まで解説していきます。
天職探しの闇
天職探しは不幸の入り口になってしまいます。
もちろん、今自分がしている仕事が天職だと思っている人は間違いなく幸せです。
ただ、天職を求めて探すのは不幸の始まりです。
2015年の南フロリダ大学の研究で、378人の大学教育研究員を集めて、自分の仕事が天職だと思うかということをチェックしました。
その回答と、仕事へのモチベーションやキャリアへのコミットメント、人生の満足度とを比べています。
この研究では、天職への人間の立ち位置は3種類あるとされています。
片思い派:どこかに天職はあると考えているけれど、まだ見つからない
両思い派:今の自分の仕事が天職だと考えている
ゼロ派:そもそも天職なんて考えたことがない
つまり、天職を探している人と今天職に就いている人、そして、そもそも天職について考えたこともないという3種類に分けています。
その結果、天職を探している人たちは、天職を探したことさえない人たちよりも、仕事へのモチベーションが低かったということです。
天職を求めると、仕事へのモチベーションが下がっていくということです。
当然ですが、今天職に就いていると考えている人は、全体的に仕事へのモチベーションが高く、人生に対する満足度も高くなっていました。
しかも、天職を探している人は、特に考えてもいない人よりも、肉体的にも精神的にも不健康な傾向があったそうです。
メンタルを病んで体を壊しやすい上に、モチベーションも低かったということです。
あなたは自分が望む仕事をしていますか?
そう尋ねられてはっきりと望む仕事をしていると答えられる人は少ないかと思います。
カル・ニューポート氏は、人は夢に見た仕事に就きたいと思うけれど夢なんか追っても幸せにはなれないということを様々なデータをもとに喝破されています。
望む仕事に就けないのは夢を追っているからということです。
なぜ夢を追っても望む仕事には就けないのでしょうか。
彼が行った調査で、自分の仕事はまさに天職だと思っている人達を探し、その人たちにインタビューを行うということをしています。
その結果、自分の仕事を天職だと思っている人たちの多くは自分の人生の目的を事前に決めていませんでした。
自分はこの仕事を自分の天職にしたいと事前に思ってはいなかったけれど、結果として天職を得ているということです。
夢を追って天職に就いたわけではなかったということです。
辛い仕事やしんどい仕事をしていたとしても、それを続けながら仕事を楽しんでいるうちに気がついたら天職になっていたとか、最初は全く仕事に興味を持つことができなかったけれど、いつのまにか情熱を持てるようになっていたという調査や研究結果も多数あります。
これについてはハーバード大学のダニエル・ギルバート氏も同じような事を言っています。
人間は自分の幸せを予測することがとても苦手で、どうすれば幸せになるのかを予測することができないので、夢を追い続けて、いざたどり着いてみると思いのほか幸せを感じなかったりもします。
僕たちがこうなったら幸せだと思い描いていることは、実際にそうなってみないとわからないわけですから、好きで選んだ仕事でも嫌気がさしてしまうこともあります。
天職に就いた人はほとんどが偶然です。
チャンスをつかむ方法その1 :ジョブクラフティング
自分でやりたいことや天職について考えるのであれば、ジョブクラフティングというテクニックを使ってもらい、仕事に楽しみを感じられるようになった方がいいです。
そんな方法についてはこちらの本を参考にしてみてください。
科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方
チャンスをつかむ方法その2 :弱い紐帯理論
そもそも、天職探しのきっかけさえもないという方は、社会学者のマーク・グラノヴェッター氏の弱い紐帯理論を参考に、転職などで人生を大きく変えてくれるようなチャンスを見つけられるようになってください。
人生を大きく変えてくれるようなチャンスや機会というものは、仲の良い友達からもたらされることは意外と少なく、人生を変えるためには、僕たちが全く知らないような世界に飛び込んだり、知りもしなかったような情報から刺激を受ける必要があります。
時間が経過するとともに、このような薄いつながりや人脈を持っている人の方が評価されやすくなるし、給料の増加率も高くなるということが確認されています。
今までとは違う人間関係や仕事の可能性が見えてくると、それが天職につながる可能性があります。
チャンスを広げるということを考えてみてください。
チャンスをつかむ方法その3 :運任せ
仕事を選ぶ時に、自分は運がいいと思って直感で決めると、そうでない人よりも良い転職ができるという研究があります。
皆さんは、天職に就くことを考えるのではなく、ジョブクラフティングを使うか、弱い紐帯理論に頼る、あるいは、直感に任せて新しい仕事を選んでみる、これらがいいのではないかと思います。
モチベーションを下げる4つの「わからない」
モチベーションが激減してしまう理由は色々とあります。
そんな中で、4つの「わからない」という感情がモチベーションを激減させてしまうという研究があります。
①価値がわからない
②できるかわからない
③感情がわからない
④間違いがわからない
2018年の南カリフォルニア大学の研究で、仕事のやる気に関する数百件の研究をまとめてレビューしてくれています。
働いている人たちのモチベーションの欠如が起きる原因について調べてくれています。
モチベーションが下がる原因としては、もちろん細かい原因は人それぞれいろいろあると思いますが、大きく分けて4つの原因に区別することができるとされています。
自分のモチベーションが下がった時、あるいは、下がり始めたと感じた時には、原因がどこにあるのかということを考えてみてください。
4つのうち一番大きいのはどれかと考えると、理由が見えてきますので、そこに対して対処すればいいということになります。
モチベーションが下がる理由その1 :価値観の不一致(価値がわからない)
仕事に対する価値がわからないとなると、やる気が出てこなくなります。
非常に多くの企業で、働き手が仕事に価値を感じられなくなるという問題が起きています。
多くの経営者や上司は、この問題に対処することができません。
多くの上司たちは、自分自身のモチベーションが部下にも当てはまるだろうと考えてしまい、自分がモチベーションを上げる時の方法や考え方を押し付けてしまいます。
例えば、自分が若い時には、厳しく叱咤激励されたりプレッシャーを与えられることでモチベーションが上がったからといって、同じことを求めたり押し付けてきます。
時代も違えば人も違うわけです。
自分の方法が他人にも当てはまるとは限りません。
この問題を解決するためには、仕事における4つの価値観を押さえた上で、どの価値観が自分に当てはまるのかということを考える必要があります。
自分、もしくは、相手が、どの価値観に基づいて仕事をしているのかということを冷静に見る必要があります。
仕事における4つの価値観
価値観のタイプその1 :知的欲求の価値
その仕事でどれぐらい好奇心を満たすことができるかというものです。
新しいことを知ることができたり、新しい経験をできることに価値を感じます。
価値観のタイプその2 :自己同一性の価値
いわゆる自分のアイデンティティのようなものです。
自分に対するキャラクターやイメージと、この仕事が合っているかどうかです。
例えば、自分が論理的な人間だと思っている人であれば、それを活かして分析したり戦略を立てる仕事が向いています。
自分を論理的な人間だと思っている人に対して、感情や根性を押し付けようとしてもやる気が出るはずはありません。
価値観のタイプその3 :重要性の価値
組織やチームでの使命のようなものがあると思います。
その目標を果たす上で、自分が果たす仕事がどれくらい重要な意味を持っているのかという感覚です。
価値観のタイプその4 :差引の価値
その仕事を行うメリットとデメリットを考えて、差引した時にちゃんとメリットが残るのかどうかです。
仕事をする上では嫌なこともあると思いますが、そのマイナスを引いても自分にとってのプラスが残るかどうかです。
仕事における価値観というものは大きく分けるとこの4つだけです。
仕事に価値を感じることができないという人は、この4つのどれかが原因でモチベーションが下がっています。
どれが当てはまるのかということを考えて、そこに対処したり工夫することで、仕事に価値を感じられない感覚はかなり薄らぐのではないかと思います。
もしどれに当てはまるのかが分からない時には、それぞれ1週間ずつかけて、ひとつずつ試してみるのもいいと思います。
その中で一番しっくりくるものに対して対処するようにしてみてください。
複数当てはまる場合には優先順位をつけて行うようにしてください。
ここから先は、モチベーションを下げてしまう残り3つの原因についてと、バーンアウトの原因と対策について解説していきます。
ぜひ続きもチェックしてみてください。