あなたが、最近、自分を責めたくなったのはどんな時ですか?
それなりの生活ができているのにいつまでも自分に自信を持てなかったり、ダラダラと過ごしては自己批判で、余計に悪い習慣を助長してしまったり、生まれた環境や親の影響で悩んでいたり、仕事や勉強が思うようにいかないことで悩んでいたりする人が多いと思います。
人は誰でも悩みを抱えながら毎日を過ごしているわけですが、今回は、自分に対する劣等感についての相談をもとに、劣等感や自己批判を消し去るための心理学について解説させてもらいます。
「Q. 19才男です。某私立大学に入学してから周囲に容姿の良い人が多いことに気づき劣等感を感じています。
そこで美容整形を考えていますが、やめ時がないことや修理に隠す事の疲労を考えると踏み切れません。どうすればいいと思いますか?」
見た目がかっこよくなくてもモテる人はたくさんいます。
まずは肉体を磨くことからしてみてはいかがでしょうか?
できることをしてから美容整形を考えるのであればわかりますが、まずは体を鍛えてからが基本です。
自分の体に自信がないセルフボディイメージが悪い人は、その状態で整形をすると、それこそやめ時がわからないきりがない状態になります。
なぜかと言うと、それは自分の力で手に入れたものではないからです。
まずは首から下だけでもいいので、ダイエットや筋トレをして、自分の力でかっこいい肉体を手に入れてみてください。
首から下のかっこいい体は自分の力で手に入れたものと思えるようになるので、それは自分を受け入れる力にもなります。
その感覚があれば、いざ整形をしようと思っても「一重を二重にするぐらいでいいかな」「少し鼻を高くしてみるぐらいで十分かな」と思いとどまることができます。
自分を受け入れる力がない状態で整形を考えてしまうと、あらゆるパーツを変えなくてはならないと思い始めます。
ボディイメージを改善するためにまずは筋トレをおすすめします。
それから美容整形をするか考えたらいいと思います。
以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。
「劣等感」とは?
アメリカ心理学会(APA)は劣等感の定義について次のように言っています。
「物理的、または、心理的な文脈から発生する不十分さと不安の基本的な感情」
つまり、劣等感というものには2種類あります。
まず物理的な劣等感、そして、心理的な劣等感の2つがあり、さらに、実際に存在する客観的な劣等感と想像上の劣等感の2つがあります。
例えば、物理的な劣等感としては、自分の見た目が悪いとか背が低いとかです。
心理的な劣等感とは、 自分は内向的で引っ込み思案だとかです。
自分が太っていることを気にしていることによる劣等感だとしたら、実際に客観的にも太っている劣等感と、自分が気にしているだけで客観的に見るとそんなことはない劣等感があります。
劣等感と言っても色々なパターンがあるわけですが、どちらも自分が何か不十分、あるいは、自分が何か不十分だと思うことによって不安を感じている感情です。
現代の主要な心理学においては、「客観的に自分に何かが足りない」「自分に何かしらの心理的な欠陥がある」という客観的な劣等感を認めています。
劣等感にも色々とあるわけですが、例えば、社会的なスキルが低いとか人とのコミュニケーションが全く取れないなど、自分の実際の欠陥があると判断された場合は、セラピストや精神科医に相談してもらい、まずはその自分の欠陥を受け入れて、その上で自分が望んだスキルや欲しい能力のために練習していくというのが一般的な治療方法であり改善方法です。
つまり、客観的な劣等感であれば、それを受け入れた上でどのようにしたら改善していくことができるのかを進めていくのが今の心理学です。
とはいえ、主観的な思い込みによる劣等感もあります。
これらの劣等感を持っている場合には改善していった方がいいです。
色々とありますが、あくまで例として4種類紹介しておきます。
いずれにしても、自分の劣等感が思い込みなのかどうかは見極める必要があります。
失敗スキーマ :批判の多い親、自己否定
これは幼少期の経験が原因になって、自分の考え方や行動のパターンが変わってしまうというものです。
いわゆる毒親の影響によるものが多いです。
批判され続けたことが原因で、自分に対して常に否定的な態度が植え付けられてしまった状態です。
自分に何かしらの欠陥があるわけでもコミュニケーション能力が低いわけでもないのに、子供の頃から親に否定的なことを言われ続けてしまったために、自分はダメで人とコミュニケーションを取ろうとしてもうまくいかないに違いないと考えてしまいます。
親からの批判が与え続けられたことによって、自分に何の欠陥があるわけでもないのに、欠陥があると思い込んでしまったのが失敗スキーマです。
こうなると諦めやすい性格になってしまいます。
自分を常に否定的に見てしまうので、自分の能力や自分が行った成果や実績に対しても全て基準レベルに達していないと考えてしまいます。
例えば、何かの仕事をしようとしても、その仕事に必要な能力が自分にはないと考え、どうせ結果は出ないと努力を諦めてしまいます。
これは自己成就的予言と言われるものですが、努力は諦めるから本当にうまくいかないということになります。
本当は能力も実績ももう少し努力を続ければ目標を達成できるところまで来ているかもしれません。
ところが、失敗スキーマのせいで努力を諦めてしまうので、本当に目標を達成できなくなってしまいます。
結果的に、ダメな自分という思い込みが現実のものになってしまいます。
欠陥スキーマ :完璧主義の親、評価を避ける
自分は本質的に劣っていて根本的に間違っていると感じさせる思い込みです。
先ほどの失敗スキーマは親に否定されることにより起きますが、欠陥スキーマは自己否定が強かった親のもとで育てられた人に多いです。
親が子供に対して何かをするというよりは、親が自分自身を卑下している状況です。
例えば、お母さんが「うちの家はお父さんの稼ぎもそんなに良くないし、両親とも学歴も低いから高望みなんてできない。だからあなたもそれなりの人生になる。」というようなことを言ったりします。
親が自己卑下が強すぎたり完璧主義な場合です。
完璧ではないから行動するのはやめておこうというような完璧主義の親のもとで育てられた人に多いタイプです。
親がこのような状況だと、子供は常に自分の欠陥を意識させられます。
親が自分のダメなところや欠陥ばかりを常に意識しているので、子供も無意識のうちに同じような思考になってしまいます。
結果的には、否定され続けたわけではないのに自分の欠陥を無駄に責めるようになり、自分が判断や評価をされる状況に身を置くことを避けるようになります。
失敗スキーマの場合には自分を否定することによって努力を諦めますが、欠陥スキーマの場合には、親が自分を卑下したり完璧主義だったために、自分が勝ち負けが決まったり評価される状況に身を置くと、自分に欠陥があることがバレてしまうのではないかと考えてしまいます。
恥スキーマ :無能感、慢性的に感じる鬱
メンタルにダメージを与える思い込みに関する51の研究から17,830人分のデータをまとめた研究があります。
そこから人生に対するダメージが強い思い込みについて明らかにしてくれています。
そこから2つのタイプの思い込みが確認されています。
これが残りの2つの思い込みです。
恥スキーマになると大人になってからうつ病を発症する確率が高くなります。
社会に馴染めないとか自分の居場所がない、自分は無能だという思い込みを持ちやすくなります。
自分に対して著しくネガティブな評価を常に持っていて、もはや苦痛を伴うような状況になっています。
もちろん、恥の感情というものは全てが悪いものではなく、上手に使うことができれば、自分の人生や人間関係の変化に活用することもできます。
こんなことでは恥ずかしいと思って努力できる人もいますし、ちゃんとしなくてはいけないと自分をコントロールすることができる場合もあります。
ダイエットも同じで、太っている自分が恥ずかしいから運動したり食事制限を頑張ることもできます。
恥の感情は短期的に抱いてそれを活用できる場合であれば役に立ちます。
ところが、恥スキーマの人は常に恥の感情を抱いています。
常に自分は恥ずかしい人間だと思い込んでいて、慢性的に自分を恥じているとメンタルはボロボロになってしまいます。
メンタルがボロボロになってくると、当然ですが自分に誇りを持てるような行動もとりづらくなります。
結果的に劣等感が強くなってしまいます。
孤立スキーマ :自分の居場所がない
自分には友達もいなくて1人なんだという思い込みです。
どんなコミュニティやグループにも所属することがなく、常に自分の居場所がないような感情に苛まれ続けます。
自分は社会に溶け込めない社会不適合者だと思い込んでしまいます。
この感情が一時的なものであれば問題はありません。
この孤立の感覚を自分が別の居場所を見つけるためのモチベーションに使うのであれば役に立ちます。
これによって人とは違う戦い方ができますし、人とは違うことができるようになるからです。
そうではなく、常に居場所がない感覚を持ち続けると危険です。
例えば、会社にも自分の居場所がないし飲みに行ったりする友達もいない、一緒にスポーツをしたり趣味を楽しむコミュニティもないと常に孤立を感じるのはよくありません。
ここまでで皆さんも気づいたのではないでしょうか。
劣等感を感じる思い込みというものは、どれもが社会的なつながりに関する思い込みです。
自分を否定して失敗することを恐れていては何も始めることはできません。
努力を諦めていては何も続けることはできませんし、これは人間関係でも同じです。
評価されることを避けると価値があることはできません。
仕事でもどんなことでも同じですが人との繋がりも作れなくなってしまいます。
恥の感情を常に感じていては、自分は誰かと繋がったり友達になる価値はないと考えてしまいます。
自分の居場所はどこにもないと考えてしまうから、当然人間関係もうまくいかなくなります。
これらの思い込みを改善するには、認知行動療法やセルフコンパッションに取り組んだり、科学的に確立された方法を使う必要があります。
自分の劣等感の根本的な原因に向き合うためにもセルフコンパッションなどを使う必要があります。
それによって自分のどこがダメなのか認めていく必要があります。
「自分はダメだ」
人間は困難な状況に自分が飲み込まれた時に、自分がダメだからだと思えば楽になることができます。
大事なのは、どんなに困難な状況であったとしても、自分を否定するのではなく受け入れて進んでいくということを考えるということです。
ダメだと自分を罰していては、それにより努力しない理由や現状を受け入れない理由を探してしまい、それは言い訳になってしまいます。
Compassion(コンパッション)――状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力
そんな方にはこちらの本がおすすめです。
これは状況に飲み込まれずに変化を受け入れる方法を教えてくれます。
困難な状況を変えるためには、その状況をどんな状況であったとしても受け入れなければなりません。
この本を読んで実践すればその状況を受け入れることができるようになります。
今の状況が最悪だと立ち止まるのではなく、どうやったら動き出すことができるのかということを考えるべきです。
自分がダメだと認めるのは別にかっこいいことでもなんでもなく、もし自分がダメだとしてもその状況の中で何だったらできるのかということを知ることが大事です。
そのためにはまずは自分が置かれている状況を受け入れる必要があります。
であれば、どうすれば受け入れることができるのかということを教えてくれるのがこの本です。
劣等感が言葉の選び方に現れる!
社会的ステータスとプレゼンを行ってもらう際の言葉遣いについて調べた研究を見てみると、事前に「あなたは他の人よりも少しステータスが低い人材です」と言われた学生は、41%の可能性でわざわざ同じ説明なのに専門用語満載の難しい説明を選んだそうです。
一方で「あなたは他の人よりも優秀でステータスが高い人材です」と言われた場合には、29%の学生だけが難しい方を選びました。
つまり、ステータスが低いと言われると、より多くの学生が難しい言葉を使うようになり、ステータスが高いと言われると、わかりやすい言葉を選ぶ確率が高くなるということです。
ですから、自分が所属している集団の中で周りに比べて地位が低いと思う人ほど、難しい専門用語を使った説明を好むようになるし、自分もそんな言葉を使いやすくなるということです。
人間の劣等感が言葉の選び方に現れるわけです。
この研究では、続く調査も行われています。
ここでは、参加者たちに自分たちのことを「ステータスが高い研究者」あるいは「ステータスが低い研究者」だということを想像してもらっています。
その上で、自分がプレゼンを行うタイトルを自由に選んでもらい、その理由を質問しました。
自分がステータスが高い場合とステータスが低い場合、それぞれで想像してもらいプレゼンをするというだけであっても、やはり同じような結果が確認されています。
自分がステータスが低い研究者だと想像すると、専門用語を多用したプレゼンをする可能性が高くなり、タイトルも難しい言葉が使われていました。
さらには、プレゼンを聞くオーディエンスが自分のことをどう思っているのかを気にする傾向も高くなっていました。
ですから、意識高い系の専門用語を多用してマウンティングをしてくる人は、自分の社会的なステータスをめちゃくちゃ気にしています。
それと同時に、自分の能力やステータスが低いということを認識していて、周りからの評価に敏感になっている人です。
自分のステータスが低いと感じていて、他人の評価をやたらと気にしすぎている人が、このような専門用語を多用したマウンティングを仕掛けてくるということです。
自分に自信がある人は、力を誇示することよりもわかりやすさや簡単さを優先します。
劣等感が強い人はわざわざ難しい言葉を使ってしまいます。
思い当たるところがある方がこれを改善するとしたら、気にしすぎ対策をしてみてください。
結局他人からの目線が気になっている状態なわけですから、自分をすごく見せたいという思いが言葉遣いにも知らないうちに出てしまいます。
他人からの目線を気にすることなく、もっと本質的なことや自分が大切にしていることを重要視するようにしてください。
答えは自分の弱さの中にある
人は誰でも劣等感を少なからず感じることもありますし、毎日いろんなことに悩みます。
このようなすべての悩みの答えというものは、実は自分の弱さの中にあります。
その自分の弱さと向き合わないと、人は自分がどのように変わればいいのか、結局自分は何をしたいのか、ということが見えてきません。
例えば、全てを手にした完璧な全知全能の神様な人がいたとして、おそらくその人は欲しいものはありません。
自分が何か欲しいとか、何かをしたいとか、そのような欲求はないわけです。
ところが、僕たちは完璧ではないから、もっとこんな能力があったらいいなとか、体型がもっとかっこ良くなったらいいな、素敵な彼女や彼氏が欲しいな、色々なものを日々求めます。
それも自分のネガティブな面や様子に目を向けることができなければ何も始まりません。
自分の弱さに目を向けて、それを理解した上で、どんな努力をすればそれが手に入るのかということを考えて初めて変わり始めます。
弱さに目を向けることができなければ、僕たちが何をしたいのか、何を手に入れたいのかということがわかりません。
ただ、ほとんどの人がその自分の弱さとの向き合い方を大きく間違えています。
この間違えるパターンには3つあります。
自分の弱さから目を背ける人
一番よくあるパターンはその弱さを見て見ぬふりをするというものです。
自分の弱さと向き合うのが怖いから、そんなものはないと考え見て見ぬふりをします。
例えば、会社の待遇や上司に対して毎日愚痴や不満を言っているのに、やっぱり安定が一番だからとか、上司がムカつくけれど給料はそれなりにあるから自分は恵まれているほうだ、などと本心では思ってもいないのに、自分で自分に対して言い訳を言ってネガティブな部分から目を背けるわけです。
自分の弱さを卑下する対象にしてしまう人
自分にはそんな弱さがあるから、何をやってもダメなんだというように自分を卑下します。
自分はもうだめだとか自分の人生はお先真っ暗だと考え、自分の弱さを改善するのではなく、その弱さを理由に自分を否定して悲劇のヒーローやヒロインになって、いわゆるかまってちゃんになります。
自分の不幸自慢をする人がよくいますが、これも同じです。
聞いてもいないのに、自分の境遇がどれだけ恵まれてなかったかとか、どれだけ苦労したのかというような話をグダグダ語る人がいますが、そんなことを言っていても人生は変わりません。
自分の弱さをひけらかして周りの気を引こうとする人です。
自分の弱さを言い訳にして立ち止まる人
自分の弱さから目を背け現実逃避してしまう人、自分の弱さを卑下してかまってちゃんになってしまう人、そして、最後は、自分の弱さにとらわれてしまい、それを前に進まない理由にしてしまう人です。
人間は誰でもいつでも変化していくことができます。
弱い部分があるのであれば、その弱い部分を克服したり、自分の弱い部分に向き合うことにより自分に足りないものが見えてきて、それが自分を変えるための指標になるものです。
それなのに、自分の弱さを見て見ぬふりをしたり、それを変えることもなくひけらかして周りに助けてもらおうとしすぎる人、それを理由にして立ち止まって成長を止める人、これらになっては意味がありません。
いずれにしても自分の弱さに向き合えない人は残念な人生になってしまいます。
ただし、自分の弱さと正しく向き合うことができなければ精神的に潰れてしまいます。
では、どうすれば正しく自分の弱さと向き合えるのかということを助けてくれるのが科学であり、そのためにはこちらの本が役に立つと思います。
insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力
こちらは自己省察という概念について解説されている本で、これにより自分を客観的に見ることが出来るようになります。
また、仕事でも勉強でも趣味でも、ついつい人と比べてしまい劣等感を感じやすいという人も結構いると思います。
逆に、まったく劣等感を感じてなさそうな人もいると思いますが、これは劣等感がないのではなく、それを受け入れているだけです。
劣等感というものはそれを消そうとするのではなく、受け入れる方法を学ぶことが大切です。
そのための方法としてはこちらの本が参考になります。
自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる ――マインドフルネスと心理療法ACTで人生が変わる (単行本)
今回は劣等感を消し去る方法について解説させてもらいました。
ここから先は、言い訳をすることなく常に成長し続ける人生のために役に立つ劣等感を消すための5つのワークについて解説させてもらいます。
どれも簡単にできることばかりですので、ぜひ続きもチェックして日々成長するために役立ててみてください。