あなたが思わずクリックしたくなる「言葉」はどんなものですか?
今回は、文章力を鍛える方法についての相談をもとに、相手の考えや態度さえも変える、人の無意識を操る文章の科学について紹介させてもらいます。
会話としてもコピーライティングとしても参考になる内容だと思います。
「Q. 大学3年生理系です。院に進もうと思っていますが、インターンシップなどで出すエントリーシートの文章が壊滅的にダメだと友人に指摘されました。文章力を鍛える方法があれば教えていただきたいです」
論文は別に文章力がなくても書けます。
論文は定型文ですので決まった文章の形を覚えればいいだけです。
エントリーシートも普通に日本語が書ければいいと思いますので、この辺りの本から始めてみてください。
後は本を読んだりオーディオブックを聞くようにして、文章構造自体を頭にインプットするようにしてみてください。
人の無意識を操る
イギリスの最も愛された首相であるウィンストン・チャーチルさんは次のように言っています。
「永遠に残るものは唯一言葉だけだ」
言葉の力は大切です。
今回のテーマは、他人の無意識を操る方法です。
人の感情を動かしたり、大衆を動かす人たちがいますが、このような人たちは、人の無意識を動かすことに長けています。
つまり、彼らは意識的に何かをお願いしたり勧めたりするのではなく、どのようなことを言えば、人がどのように動くのかということを知っています。
人の無意識を誘導することが上手い人は、多くの人を動かせるわけです。
意識的に動かそうとしたり促しても、絶対に反対意見も出てくるものです。
ですから、このようなことを言えば多くの人がこう動くであろうということを理解していれば、人間は、無意識レベルで自分が選択したことに対しては、それは自分のした選択だと思います。
人間にとってこの自己選択はとても大切で、これがその人の信念を形成していきます。
人に言われてしたことではなく、人に言われたことを参考にして自分が考えた、あるいは、自分が考えたと思い込んでいることに対して価値を感じるものです。
人の無意識を操れば人を動かせる
ですから、人を動かすのが上手い人は無意識にはたらきかけて動かすわけです。
言葉や文章を使って、他人を動かすための方法を様々な研究から紹介させてもらいます。
今の時代においては、これはとても参考になるものだと思います。
昔は、文章や文字を使って世の中に何かを発信することは難しいことでした。映像としてはテレビしかありませんでしたし、文章としても本ぐらいしかありませんでした。
ですが、今の時代においては、LINE でも Twitter でも多くの人が発信することができるようになりましたので、今回のテクニックは、そんな多くの人にとってとても重要なテクニックになるはずです。
18万件の議論を分析してわかった相手の意見を変える条件
2016年のコーネル大学の研究で、自分の意見を広めたり相手の意見を変えて、自分の意見を採用させるためにはどうすればいいのかということを調べてくれています。
これは一対一でも使えますし一対多数でも使えるものです。
ネット上の掲示板のようなものを2年半にわたりチェックして、議論が活発に行われているスレッドなどを18万件調べて追跡しました。
どのような書き込みが行われたり、どのような意見が出てきた時に、相手の意見が変わりやすいのかということを調べたというものです。
その結果わかったこととして、5つの条件が揃った時に人は意見を変えやすいということです。
これはネット上のものですから、もちろん、メッセージや LINE でも使うことができますが、日常の顔を合わせたコミュニケーションでも使えるものです。
どちらかと言うと、その日常の対面のコミュニケーションの方が効果は高くなると思います。
人間は、やはり対面のコミュニケーションの方がインパクトが大きくなるものです。
例えば、何か頼み事をする時に、メールで頼みごとをするのと対面で頼みごとをするのを比べたら、対面の場合の方が成功率は高いし、頼みごとに応じてもらえる確率も高くなります。
相手はそれをすることに対して抵抗を感じることも少なくなるということもわかっています。
そういう意味では、頼みごとをするのであれば顔合わせてするというのが常識になるわけです。
条件その1 :多数の反対意見に対する見解を質問する
こちらの意見の方が支持率が高いということを知らせるというものです。
要するに、社会的証明にアプローチするということになります。
大抵の人は、多くの人に支持されている意見ほど正しいと思い込む心理を持っています。
ですから、相手の意見を変えたいと思う時に、それは間違っているとか、自分はこう思うということを主張するのではなく、自分が主張しようとしている意見がすでに多くの人に支持されているとか、自分と同じ意見を持っている人がこんなにもいるということを先に述べておいて、だから自分もそう思うということを主張します。
自分の意見を述べた上で、その証拠として多数の人が支持しているという事実を伝えると、相手は意見を変えづらくなります。
相手に対して反対の意見を述べて、その証拠としていろいろな人がそれを支持しているということを言うと、相手は、自分の意見を支持する人たちもいるということを主張してくるようになります。
そうなると、お互いに意見が対立するだけになってしまいます。
自分の意見ではなく多数の意見に対して尋ねる
ですから、自分には当然意見があるわけですが、それをいきなり言わないでください。
相手の意見を聞いた上で、それに反対する意見が色々と出ているという事実を伝えて、それに対してどう思うかということを冷静に尋ねてみてください。
自分の意見ではなく、多くの人が出している意見があるけれど、それに対してどう思うのかということを尋ねるわけです。
自分の意見を出すのはその後です。
多くの人は、自分の意見をまず言った上で、その理由を語りたがります。
そうではなく、相手に意見を言われた時に、それを聞いてまずはその意見を認めます。
相手の意見を認めた上で、多くの人がその反対の意見を言っているという事実を伝えて、相手にどう思うのかということを尋ねるようにします。
自分は相手の意見にも理解を示しているという前提で、それと反対の意見も多く出ているということを伝えて、それに対して、どう思うのかということを質問するようにすると、相手は意見を変えやすくなるということです。
この質問をされた時の返し方
ただし、逆にこれをされるとかなりうざいものです。
皆さんがこれを知った上で、誰かがこのテクニックを使っていた時には、それに対する対応策もあります。
例えば、記者会見などでよくある光景だと思いますが、「このような意見が出ていますがどう思いますか?」というように質問してくることがあると思います。
このようなことを言われた時には、そのソースは何かということを質問し返してください。
誰がそれを言っていたのか、どのような統計なのか、それが信頼に足る情報だという理由は何なのかということを質問し返すのもいいと思います。
一番強力なのは、「あなた自身はどう思っているのか?」ということを質問し返す方法です。
あなたはどうなのかということを質問し返すと、そこに責任が発生するので、何も答えられなくなる人が多いものです。
このテクニックをされた時の返し方としては、もうひとつあります。
少しやらしい方法なのであまりおすすめはしませんが、意地悪な質問をしてくる人に対しては結構使える方法です。
それは、「ちなみに、その質問の目的は何ですか?」と質問し返す方法です。
皆さんに対して意地悪な質問をしようとか、自分の思う方向に誘導しようと企んでいる人に対しては、大抵の場合この質問をするとその思惑を壊すことができます。
その発言やその意見を支持する目的は何ですかということを尋ねてください。
例えば、A の意見とB の意見があり、どちらを支持するわけにもいかないという状況にも関わらず、どちらを支持するのかというような意地悪な質問をされるような場合もあると思います。
そんな意地悪な質問をされた際には、その質問の目的は何なのかと質問し返してください。
そうすると、その相手の意地の悪い所が浮き彫りになってきます。
そんな意地悪な質問をするなと主張したところで口論になってしまうだけですが、その質問の目的は何なのかと尋ねることによって、相手の意地の悪さを浮き彫りにすると、相手は何も言えなくなります。
こちらの意見の支持率が高いという事実を伝えることが大切だという話と、その返し方を3つ紹介させてもらいました。
みんなが言っているとか、今までみんなこうしてきたといったことを言う人がいますが、今回紹介した返し方で返すことができます。
ただこの返し方を知らない場合には、基本的に、みんなが支持しているということを伝える方法を使った方が説得力は高くなります。
返し方を知らなければ返すことはできないはずです。
条件その2 :例え話を多用する
「例えば」「例を挙げるのであれば」 という表現が多いほど相手に影響を与えやすくなります。
例え話が加わるだけで説得力が上がります。
難しい話を説明する時も、例え話が加わるだけで相手の理解度は上がります。
例え話ではユーモアを交えるとより効果的です。
本来、学術的な内容や科学的に厳密な話をする際にはユーモアを入れるのは難しいです。
ですから、DaiGo師匠は言葉や内容、定義を説明してから、例え話を入れてジョークも交えます。
Dラボや本で何かを学ぶ際も、自分だったら日常生活の中でどのように使うかを考えるようにしてください。
どんな知識も具体例を考えると同時に、わかりやすい例えや面白い例え話ができないかと考えてみてください。
新しい知識を学ぶ時も情報をインプットする時もこの3つを考えてください。
①具体例「自分だったらどう使うか?」
②わかりやすい例え話「小学生に伝えるには?」
③面白い例え話「ありえない共通点から面白く伝えるには?」
条件その3 :譲歩表現
相手の間違いを否定したり強い表現を使うと衝突するだけです。
まずは相手の意見を認めた上で、多数派の意見についての考えを質問したり、相手の意見の例外に当たる内容についての考えを質問してみてください。
自分の意見を言う時もその内容を断定的に言う必要はありません。
相手の意見を認めて正しいと伝えた上で、「自分はこんな意見もあると思う」「このような可能性もある気がする」などの表現を付け加えながら、最終的にはどちらかと言うとこちらの方が正しいぐらいに持って行きます。
人は負けを認めたくはありません。
相手の意見が正しい場合もあれば自分の意見が正しい場合もあり、ある程度の限定的な条件の下であったり、どちらかといえばこちらの方が正しいぐらいに思わせれば十分です。
人は余裕がないと他人の意見を受け入れることはできません。
ですから、譲歩する表現を使って相手を認めた上で、追い詰めることなく余裕を持たせておくわけです。
条件その4 :連投はしない
LINE や DM などで相手を説得したいからといって連投するのはやめた方がいいです。
短いメッセージをたくさん送る場合と、長い文章をまとめて送る場合で、どちらの方が相手に対する影響力が大きくなるのかということを調べた研究があります。
普通に考えると、長文のメッセージが送られてくると面倒な気がしますが、短いメッセージを連投するよりも、長いメッセージをまとめて送る方が、相手に考える余地が生まれて影響力が高まるそうです。
これは Twitter の投稿でも YouTube のタイトルや動画の内容でも同じことが言えます。
もちろん無駄に長い文章には意味はありませんが、長い文章の方がリツイートも増えます。
価値がある情報であればタイトルや動画も長い方がコンバージョンが上がります。
コピーライティングでも同じです。
短い文章の方が確かに読んではもらえます。
長いキャッチコピーの方がそれを読んだ後の行動に繋がりやすくなります。
質より量ということではありません。
長くても読んでもらえるような文章の内容と組み立てが重要です。
説得する場合でも、相手が読んでくれるような文章を長くなっても一度にまとめて送った方がいいということです。
1行目は2行目を読んでもらうための文章です。2行目の文章は3行目の文章を読んでもらうための文章です。
そして、最後の行の文章は、皆さんが相手に起こしてもらいたい行動のための文章です。
読み進めることによって人は説得されやすくなります。
文章で考えるとわかりやすいでしょうが、これを会話の中でもできるようになると相手を説得しやすくなります。
文章で考える時には、文章と文章の間に必ず相手の反論や疑念に対して答えるように組み立ててください。
条件その5 :太字と箇条書き
相手の意見を変えたいのであれば、反論を想定して太字と箇条書きを多様してください。
そもそも人は文章を読みたいとは思いません。
相手が文章を読まない前提で考えると、読みやすい文章だと伝わるように、自分が強調したい部分を太字にしたり箇条書きにする必要があります。
特に、一対多数のコミュニケーションにおいては太字や箇条書きを使った方が、意見の違う人たちが皆さんの味方をしてくれる可能性が高くなります。
それによって文章を読みやすくなりますし、読んだ気分になります。
一見して読みにくそうな文章は読みたくありません。
それを読みたくないという自分を認めたくないから、その文章は読む価値がなかったと思い込みます。
つまり、相手が読んでわかったような気分にさせれば、価値がある文章のように思い、ちゃんと読んでくれるわけです。
これは会話の中でも使えます。
会話の中でも太字と箇条書きを使ってください。
頭の中で強調したい部分は太字を意識して喋り方を強調してください。
伝えたいポイントは頭の中で括ることを意識すると表現も変わります。
重要なポイントは3つあると伝えた上で、順番に箇条書きのように説明します。
会話の中でも太字と箇条書きを使っているかのようにイメージして話すようにしてください。
それだけで話し方の質が全く変わってきます。
科学者の心を揺さぶる6つの文章術
ワシントン大学が世界に影響力を与える論文について調べてくれています。
多くの科学者に影響を与えて評価されている論文の特徴について調べた研究です。
科学者でさえも、質の良いデータを用いているということよりも感情に訴える部分が重要だったということが示されています。
文章の構造として重要なポイントがあるということが示されていて、これは論文を書かない人でもとても参考になる内容です。
世の中に広く広がる論文ほど、その中でストーリーを語っていました。
ストーリーテリングを上手に使っている論文ほど高く評価されていました。
さらに、多くの人に支持される論文ほど感情表現を多用していました。
例えば、その研究をするに至ったきっかけの出来事を表現していたり、ストーリーや感情がたくさん使われていました。
確かに、海外の研究者ではとても面白い本も出されている方が多いですが、これはストーリーテリングが上手な研究者が多いからだと思います。
感情は必要がないとされている科学論文でさえも、他人の感情を揺さぶることが大切です。
逆に言うと、感情を排除してひたすら数字とデータと向き合おうと考えている科学者でさえも、ストーリーと感情表現で論文の質を判断しているということは、僕たちが日常生活や仕事の面で、この手法を身につけることができればとても強力な武器になります。
面接やエントリーシートでも強い武器になります。
ここから先は科学者の心さえも揺さぶる6つの文章術と、相手の考えを変える話の組み立て方について解説していきます。
ぜひ続きもチェックしてみてください。