「+TIC」とは、使い捨てられるビニール傘とは似て非なるオールプラスチックの傘。壊れにくくさびない、さらに、すべてリサイクル可能なように金属を一切使わず作られています。人にも環境にもやさしく、雨の日が楽しくなるようにとの思いを込めた「+」と、素材のプラスチックを組み合わせて名付けられたそう。
エイトブランディングデザインの西澤明洋さんによるロゴマークも、一貫性を持ったデザインを象徴するよう一筆書きのイメージで、なんだか懐かしい相合傘のようです。
すべてのパーツがプラスチックでさびにくいのはもちろん、よくしなり、元の形状に戻るという素材の特性が生かされています。なんと秒速30メートルの風に耐えられるのだそう! 傘生地も、破れてしまった場合、張り替えられる構造。今回はデビューしたばかりということもあり、生地だけの販売はまだ行っていないそうですが、今後、展開していきたいとのこと。修理しながら長く使えそうです。それでも処分しなければならないときは、そのすべてがリサイクルでき、環境にも自分自身にもやさしい気持ちになれますね。
傘を楽しんでもらう文化を使い捨ての傘は、雨をしのぐためだけの道具でしたが、広げるたびにちょっとウキウキする傘なら愛用品になりそう。プロダクトデザインを手がけたデザインスタジオエスの柴田文江さんによると、
「傘って自分自身は内側から見ているんですよね。なので、内側が裏ではないデザインにしたかったんです」
とのこと。確かに鮮やかな模様の傘も他人からは見えますが、自分は柄を持ちながら裏側を見ていますよね。柄の部分に金具がないのも、裏という感じがしないのかもしれません。しかも開いたり閉じたりする時に、うっかり指先をはさんでしまう心配もなく、私のように手袋を何度もはさんでしまったというような人にもおすすめです。
柄は、全部で10種類。無地のように見えるタイプも、よく見ると細いストライプ。透明感があり、ビニール傘のように前方の視界も確保され、こわれにくく、柄を選ぶのも楽しいと、いいことずくめの「+TIC」。春の嵐の日も安心して傘がさせそうです。