栄養士が、心からやめてほしいと思っている6つのキーワードとは?
栄養やダイエットに関するこうしたトレンドワードは、実際には何も意味しておらず、こうした言葉のみに振り回されてしまうと、より強く健康で元気になるという本来の目標が失敗に終わるかもしれません。栄養士たちが、心の底から私たちに使うのをやめてほしいと思っている6つのトレンドワードをみていきましょう。
1. クリーンイーティング
「うんざりするフレーズを挙げてください」という、栄養士たちへの質問に対する圧倒的ナンバーワンの回答が「クリーンイーティング」。ローレン・ハリス=ピンクスさん(MS、登録栄養士)は次のようにはっきり説明します。
「クリーンの反対はダーティ=汚いです。食べ物は、洗ってない野菜でもない限り、汚くありません」。この食品はクリーンで、これはクリーンじゃないとほのめかすことは、食べ物に対する恐怖心を煽ってしまいます。ハリス=ピンクスさんのクライアントには、レストランのメニューにある食べ物の成分がわからないという理由で、外食が怖くなってしまったという人がいました。
「人生に必要なのはバランスです。加工食品は最小限に抑え、自宅で料理をしてオーガニックな食品をよりたくさん食べたいという人々を私は称賛していますが、同時に食べ物に対して恐怖心を抱くのは誰にとってもよいことではありません」(ハリス=ピンクスさん)
同じく、サラ・シュリヒターさん(MPH、登録栄養士)も、こう言います。「食べ物を道徳的にとらえるのは、長い目でみると危険なことになりかねないし、最終的に罪悪感につながったり、”クリーン”ではないとされる食品を食べることを後ろめたく思ったりする結果を招きます。私はそうした食品をもっとよくとらえる方法を考え、クライアントには自然により近い状態にあった食品を選ぶようアドバイスしています」
カーラ・ハーブストリートさん(MS、登録栄養士)も同じ意見。「クリーンイーティングは、なんらかの形で成分がよりヘルシーだからといって、いくら食べてもOKというフリーパスがあるかのようなニュアンスも感じられます。クリーンイーティングのデザートのレシピを見てもそう! 材料が”クリーン”だろうが、従来と同じだろうが、チョコレートケーキはチョコレートケーキだし、サラダはサラダです」
2. チートデイ
栄養士たちをイラッとさせるもうひとつの言葉が「チートデイ」。これは、6日間決まった食事を守ったら、7日目にはなんでも好きなものを食べてもいいというダイエットを指します。現実を見ましょう。常に完璧な食生活を守れる人はいません。
仮に、ふだんの食事があまりに貧相なのに、丸1日制限なしの日を作ってしまえば、何かが間違っています。食べることはエネルギーを補給すること、食べ物を美味しく味わうこと、楽しいことなのです。「チーティング」という言葉には、普段なら避けている食べ物をぜいたくに大量消費する自分勝手なイメージがあります。それに、1日ハメを外して食べることがヘルシーなライフスタイルになるでしょうか。こうした言葉に惑わされず、マインドフルに食べるように心がけましょう。
3. デトックス
あなたの肝臓や腎臓は、毎日あなたの身体をデトックスしています! とはいえ「デトックス」や「クレンズ」はいまだ大人気の言葉で、あらゆる健康食品店や数多くのウェブサイトでも目にします。アンドレア・マチスさん(MA、登録栄養士)いわく「デトックス・ダイエットという言葉は聞き飽きました! この場合の”ダイエット”とは、かなりのカロリーや特定の食品群を制限することを指していて、要は体を”クレンジング”して体重を減らすということです」
さらに、こうしたデトックス=クレンズには、ヘルシーなライフスタイルには明らかに不要な、エビデンスがない高価なサプリメントが含まれることも多いのです。マチスさん(および科学)によれば、「この方法にはあまり効果がありません。なぜならより健康的な食習慣を長期に渡ってどうやって維持したらいいのか教えてはくれないし、野菜、フルーツ、豆類、全粒粉などの健康によい食品をバランスよく摂取することを勧めているのでもないからです。体重を減らしていきたいと考えているなら、魔法の薬もすぐに効果が出る食事もないと考えて。一番よい方法は、体によい食品を選択すること、適切な分量を食べるように心がけること、運動量を増やすことです」
4. ローカーボ(低炭水化物)
炭水化物は敵ではありません。実際、炭水化物は体に必要なエネルギー源であり、通常の健康な身体機能に欠かせないものです。炭水化物によるエネルギーは、筋肉の動き、思考プロセスと脳の働き、胃腸や心臓血管の機能などの燃料となります。
高度に加工された炭水化物(精製された穀物、シリアル、甘いお菓子や飲料、スナックのチップスやクラッカーなど)が、満腹感が少ないわりにはカロリー過多であるのは事実です。それが体重増加や健康上のリスクにつながる理由です。
シャロン・パーマーさん(MS、登録栄養士)は次のようにアドバイスしています。「全粒の穀物(キヌア、玄米、スペルト小麦など)、野菜、果物、豆類など、主に健康によい炭水化物に注目してください。食物繊維や栄養素を取ることができ、満腹感も長時間続きます。精製炭水化物のような血糖値への影響もありません」。炭水化物をむやみに恐れるのではなく、毎日の食生活によりヘルシーな選択肢を取り入れるようにしましょう。
5. お腹の脂肪
ナタリー・リッツォさん(MS、登録栄養士)によれば「お腹の脂肪」が消えるべき言葉。「お腹の脂肪を燃やすとか、お腹の脂肪が溶けて消えると約束する記事は、かなり誤解を招きます。脂肪がなくなってほしい場所を選ぶことができるなら、そんなに簡単なことはないですよね?」。残念なことに確かにそれは無理。体重は、身体全体から均等に落ちていくのです。
厳しい事実にも目を向けましょう。
事実1:男性は女性よりも腹部の脂肪組織の量が多い。
事実2:腹部の脂肪は年齢とともに増加する。
事実3:一般的に更年期の女性は腹部により多くの脂肪がつく。
特定の食品やサプリがお腹の脂肪を溶かしてくれると信じるのは、残念ですがもうやめましょう。健康的な身体と生活習慣に前向きな姿勢で取り組むようにして、ボディシェイミング(他人とくらべて自分の体型を恥ずかしいと思うこと)をやめて、2018年はよりヘルシーになることを目指しましょう!
6. ギルティプレジャー
「チーズケーキは私のギルティプレジャーなの」という言い方を聞いたことがありますか? あまりヘルシーではない大好きな食べ物(チョコレート、ピザ、ポテトチップスなど)を完全に除外して、そうした食べ物を食べたときに後ろめたい気持ちになる言葉です。
「ギルティプレジャーという言い方は、やましい気持ちで食べるということで、そうしたネガティブな感情は誰の生活にもよくありません。それがどんな食べ物であっても、食べることは”チート=ずるいこと”ではないのです。私はもっとゆるいアプローチのほうがいいと思います。私の場合はチョコレートなのですが、大好きな食べ物をちょっとだけ、日常的に食べるというプランを立てます」と言うのはエリザベス・ワードさん(MS、登録栄養士)。たまには「罪悪感」を一切感じずに大好きな食べ物を楽しんで味わってもいいんですよ!
Jennifer Bowers / 6 Trendy Nutrition Terms Dietitians Want Us All To Stop Using In 2018
訳/Maya A. Kishida