おなかの痛みって、大きな問題になることはあまりないかもしれませんが、嘔吐や下痢におそわれるのはつらいですよね。もしも突然、消化にまつわるトラブルが起きたら、ある食べものが助けてくれます。それは「BRAT食」。
たとえるなら、子どものころ病気になったときにお母さんが作ってくれたような、口当たりがよくて、胃に優しい……そんな食べもの。それでは、BRAT食の内容や効き目、実際のお役立ち度について紹介します。
BRAT食ってどんなもの?
image via shutterstockBRAT食とは、バナナ(BANANA)、白米(RICE)、アップルソース(APPLE SAUCE)とトースト(TOAST)という、低食物繊維のメニューです。
「BRAT食は柔らかく、口当たりや消化もいいので効果が期待できます。さらに食物繊維が少ないため、便が固くなります。脂肪分が少なくて強い香りもないので、吐き気を催すこともありません」と、テキサス ヘルス サウスウエスト フォート ワースで内科医を務めるジェームズ・エルダー3世さん。
BRAT食を構成している食べ物
バナナ
白米
アップルソース
トースト
BRAT食を行うとき、ほかに食べてもいいものは?
BRATの頭文字に合わなくても、口当たりのいい食べ物ならOK。たとえば、以下の食べ物は大丈夫です。
プレーンクラッカー シリアルやオートミール だし汁、スープストック 卵 皮を取り、茹でた、または焼いた鶏肉BRAT食を行うとき、避けたほうがいいものは?
揚げ物や脂っこい食べ物 生野菜やフルーツなどの食物繊維が多い食べ物 アルコール コーヒーなどのカフェインを含む飲み物BRAT食って効き目があるの?
image via shutterstockBRAT食は普遍的に存在してきた食事であり、多くの人がその効き目を信じています。しかし、「BRAT食の効果はあまり証拠がなく、実際に胃腸の症状を治す可能性は低いのです」とカリフォルニア州サンタモニカのプロビデンス セント ジョンズ ヘルス センターで専門家庭医を務めるデービッド・カトラーさん。
というのも、下痢の多くは腸のウイルスによって起こるので、ウイルスは何を食べるかに関係なく数日間でいなくなります。実際、アメリカ小児科学会は、制約が多いBRAT食を子どもにすすめていません。
でも、大人にとっては違います。免疫システムが不快な食あたりと戦っている間、少し気分がよくなる程度にはBRAT食が役立つかもしれません。病気のときでも、小腹が空くことはあります。そこで脂っこいチーズバーガーやボールいっぱいのアイスクリームを食べるよりは、BRAT食を取るほうがよいに決まっています。
やっぱりすごいバナナの健康効果
朝食代わりやダイエット、運動前後に食べるといいといわれるバナナ。その栄養と健康効果をご紹介します。 https://mylohas.net/2018/05/168236banana_diet.html?test2018aBRAT食はどれくらい続けるべき?
image via shutterstock「嘔吐や下痢の場合、最初の6~12時間は水やスープなどの液体物だけを取るようにしたほうがいいでしょう」とエルダーさん。そんなときは食欲もないと思いますが、液体物は嘔吐や下痢の症状を悪化させずに水分を補ってくれます。
症状が出てから8~12時間後に、BRAT食をちょっぴり取るようにするのです。吐き気や下痢がひどくならないようであれば、少しずつ量を増やしても大丈夫。BRAT食を取ることで吐き気や下痢がぶり返すようであれば、少なくとも数時間は液体物に戻します。
「1〜2日ほどBRAT食を取れば、あとは2~3日かけて通常の食事に戻していけばいいと感じるはずです」(エルダーさん)。
ほかにも下痢や嘔吐に対処する方法はある?
BRAT食を取ると下痢や嘔吐の症状が和らぎますが、ほかにも対処する方法はあります。
たくさん飲み物を飲む
「もっとも大事な初期対応は水分補給です」(カトラーさん)
失った電解質を補給する
「下痢や嘔吐が起きると、ナトリウムやカリウムといった重要な電解質が失われます。だから、それらのミネラルを含んだ飲み物を取ることが大切。スープやフルーツジュース、スポーツドリンクなどがいいでしょう。もし、グラスいっぱいの飲み物をぐっと飲むと気分が悪くなるようなら、1回に少量ずつ頻繁に補給します」(エルダーさん)
プロバイオティクスを試す
善玉菌は、下痢を伴う感染症を治す可能性があるという証拠があるので、プレーンヨーグルトのようにカラダによい微生物がたくさん含まれた食べ物を取ることも効果的です。そういう食べ物を取ることが難しいなら、医師と相談してプロバイオティックのサプリを取ることも検討します。
注意したうえで市販薬を飲む
市販薬を飲むと症状が抑えられるので、トイレに駆け込む回数を減らせるはずです。市販薬のなかには下痢に関連した感染症を悪化させるものもあるので、飲む前に医師と相談します。
乳製品アレルギー? プロバイオティクスで症状が緩和
「乳糖不耐性」について知っていますか?症状を避けるには、牛乳を飲まないことですが乳製品が好きなら、プロバイオティクスが役に立つかもしれません。 https://mylohas.net/2018/06/168646probiotics.html?test2018aBRAT食を取るべきでない人はいる?
「クローン病や潰瘍性大腸炎などの胃腸の病気がある人は、BRAT食に頼らないほうがいいでしょう。免疫不全の人や、胃バイパスまたは胃バンディングなどの肥満外科手術を受けたことがある人も同様です」(エルダーさん)。
これらに当てはまる人は、下痢になったとき脱水症状になりやすいのです。自分で下痢に対処しようとするのではなく、すぐに医師に相談することがベストです。
BRAT食が効かないとき、どの時点で医師に相談するべき?
image via shutterstock「2日間胃腸の症状が収まらないときは、医師に相談したほうがいいでしょう。2日間以上ゆるく、水っぽい便が続くと、脱水症状のリスクが上がります。しかもBRAT食はビタミンやミネラルに乏しいので、数日間以上食べ続けると重要な栄養素が不足してしまいます」(カトラーさん)。
以下の症状がある場合はすぐに医師に相談を。
腹部や直腸に強い痛みがある。 39度以上の熱がある。 便が黒く、ネバネバしている。または血液や膿が混ざっている。これらの症状はすべて深刻な問題の兆候なので、BRAT食で対応してはいけません。
Marygrace Taylor/What Is the BRAT Diet?
訳/STELLA MEDIX Ltd.