しかし、「男性がつねにセックスをしたがらないことを異常とするのは、社会によってつくられた偏見」と指摘するのは、ニューヨークを拠点とするカップルセラピスト、シンシア・ピズーリさん。
「男性がつねにセックスをしたがらないと女性は、“きっと私に何か問題があるにちがいない。私のことを抱きたいと思わなくなったなんて、ふたりはもうおしまい。離婚することになる”と思ってしまいがちになります」
でも、時間が経つとともに関係は変化していくものです。とくに結婚生活のように長期にわたる関係では、なおさら。夫がセックスにあまり積極的ではなく、そのことで妻に悪影響が及ぶなら、問題点を解決していくことが必要です。
「セクシャルな親密さがなくなるのは、個人の問題ではなく、ふたりの関係性の問題です。女性は、自分のことを被害者だと思わないように」とピズーリさんはアドバイスします。
男性がセックスへの関心をなくす原因はなんでしょうか? セックスレス解消法もあわせてご覧ください。
1. ほかのことが優先されている
人生にはやるべきことがいっぱい。その結果、セックスが後回しになってしまうことも。子どもがいる場合はとくにそうですが、職場から帰ってきた人にとって、セックスは最優先ではなくなるのです。
「一日中働いたあとでうちに帰ってくると、ゆっくりテレビを観たり、眠ったりしたくなります。なんとかがんばってセックスすることもあるかもしれませんが、とにかく眠りたい、というときはあります」
また、結婚してからセックスに新鮮さを感じなくなると、優先事項がほかのものに変わるのも、よくあること。
「石器時代であれば、子どもを授かってから男性に課せられた仕事といえば、狩猟と食べ物の採集だったでしょう。しかし現代においては、セックスの後に優先されるのは、働くこと。家族を養うため、多くの男性にとって生活の中心が仕事になるのです」(ピズーリさん)
「一生のなかで優先すべきことは変わる」と、捉え直すことが大事です。
「こう考えても、夫婦関係が損なわれるわけではない。男性にも女性にも、セックスの頻度や優先度はライフサイクルにより変わるもの。潮の満ち引きのように変わります」とピズーリさんは説明します。
その気にさせるには?
そうとはいっても、夫婦間のセクシャルな結びつきを取り戻すべく対処することは大事。忙しいスケジュールの人はなおさらです。
はじめのステップとして、自然にその気にならないなら、週のうちセックスする日を決めては?
たとえば、「その日」を土曜の夜に決めて、それを守る。できれば、家のなかに子どもがいないときのほうが、気が散らなくてよいでしょう。
2. 健康上の問題がある
男性も女性と同じように年齢とともに健康上の問題が起きてきます。ED(勃起不全)や前立腺がんなどは、性生活に深刻な影響をおよぼすことも。
「EDのため、セックスを避けるようになる男性もいます」と言うのは、ニューヨークを拠点とする婦人科医アリッサ・ドゥエックさん。また、前立腺がんに対しては手術が行われる場合もあり、そうなるとセックスについての考え方を変える必要も。
「セックスとは性器を挿入することだけを指すのではない、という理解を。セックスは人それぞれ。相手に合わせることは必要ですが、セクシャルな結びつきにはいろんな形があります」とピズーリさんは説明します。
パートナーが性生活に影響のある病気と診断された場合は、必要な治療を受けるように促して、パートナーを支えることが第一。
「できるだけお見舞いに行き、健康問題について関心を持つようにするのです。これらふたつを心がけることが、夫を支えることになりますから」と、ロサンゼルスでセックスセラピストをしているクリスティーン・ミルロッドさんは語ります。
その気にさせるには?
夫婦のセクシャルな関係を保つためにどんな方法があるのか考えます。新しい方法を試してみたり、夫婦関係のセラピストに相談したりして、「エロティック」の新しい形を探るのです。
「病気のために身体が傷ついてしまっている場合もあります。勃起機能が変化するなら、何をエロティックと捉え、ふたりの性的な関係をどのように深めていくか。専門家に相談するとよいかもしれません」(ピズーリさん)
3. プラトニックな関係になった
5年、10年、20年、30年と時を過ごしていくうち、夫婦はすっかり打ち解けてきます。すると毎日は決まりきった日常に。それはとてもすばらしい面もあるのですが、性生活の面からは、歓迎できることばかりでもありません。
「親しくなると、どうしてもプラトニックな関係になってきます」とピズーリさんは言います。
「夫婦が親友のような状態になると、エロティックなことはふたりの関係からはずれたものとなり、結果的にセックスレスになるのです」
では、セクシャルな関係につながるチャンスって? 洗濯物をたたんだり、食器を一緒に洗ったりするときは、カップルの友情を深めることにはなるものの、夫がその気になるときではなさそう。
「テレビを観るとか、家事をするためにともに時間を過ごしても、男性はその気にはなりません」と心理学博士のブランディ・エングラーさんは説きます。エングラーさんはロサンゼルスで活動している心理学者で、人間関係性とセクシャリティが専門。
「一般的に男性は、普通にそのへんを歩いているようなとき、その気にはなりません。刺激がいるのです」
その気にさせるには?
倦怠期になったと感じたら、エロティックな空間を用意して、セクシャルな親密さを取り戻すことが大切です。
「同じパートナーと30年間も一緒に過ごしたあとで、そんなのいまさらありえないと思うかも。でも、エロティックになるには、暑い砂浜を歩くように気分を高めていく工夫がいるのです。シチュエーションを変えたり、言葉遊びをしたりして」と言うのはピズーリさん。
エングラーさんによると、一日のなかで完全にスマホなどをいじらない時間を設けるのもおすすめだそう。電子機器はセックスの邪魔となりがちだから。
「頭をからっぽにして、身体に意識を集中させるのです。散歩に行ったり、ダンスをしたり、瞑想するとか。そのあとで、デートをしては」とエングラーさんは提案します。
明晩の「Prevention」記事に続きます。
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訳/STELLA MEDIX Ltd.