たくさんの本を集中して読むことができるうえに、記憶力を高められる方法とは、いったいどんなものなのでしょうか。上岡正明著『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)から、ご紹介します。
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読書を楽しむと、記憶が定着しやすい
日本脳科学認知心理協会理事で、 放送作家を経てマーケティングのコンサルティング会社を経営する上岡さんは、脳科学的なアプローチから1日1冊本を読むことができるうえに、しっかり記憶に定着する「高速読書」を考案しました。
いわゆる「速読」と似ているようですが、何が違うのでしょうか。著者は、目指すゴールが違うと明記しています。
速読は、ひたすら速くたくさんの本を読むことを目的としています。(中略)高速読書はたくさん読んで記憶に定着させるのが目的です。しかも、得た知識は仕事や生活でいかすことができます。
『死ぬほど読めて忘れない高速読書』53、54ページより引用
そして、「楽しみながら読書をすること」が記憶を定着させるポイントのひとつだそうです。
記憶の定着には、脳の中の扁桃体の働きが関係していると著者はいいます。
脳の中には海馬という部位があります。記憶のカギは海馬が握っています。覚えると決めたことは長時間そこに保存されます。また海馬の近くに感情を司る扁桃体という部位があります。この扁桃体は、ワクワクしていると、海馬に働きかけて記憶力を高めるということが東京大学医学部の研究でわかっています。
『死ぬほど読めて忘れない高速読書』70ページより引用
「高速読書は3回読んで理解すればいいので、気楽に読むことができる」と著者はいいます。 楽しみながら読書をすることで脳の機能が高まるというのは、興味深いものです。
じっくり1回より、すばやく3回読むのがいい
高速読書によって記憶に定着する理由は、ほかにもあります。
それは、脳科学で効果が明らかになっている「分散効果」「エピソード記憶」「アウトプット」を駆使した読書術だから、と著者は述べています。
まず、3つあるポイントの中の「分散効果」とはどのようなものなのでしょう?
じっくりと1回読書するのではなく、時間を分散して同じ本を速く複数回読むと、脳に強く焼きつく効果が高く、記憶がとどまるということが脳科学の研究でわかっているそうです。さらに、別の場所で読書することによって、より効果が高まります。
たしかに、人間が高い集中力を維持できるのは、ほんのわずか。たとえば、朝の通勤時、昼休み、寝る前など、一日の中で分散しつつ、短い時間を読書に使うのであれば、集中力を持続させることができそうです。
マーキングのペンは、青色がいい
続いて「エピソード記憶」「アウトプット」とはどんな効果なのでしょうか。
また、高速読書では、単に読むのではなく読んでいるときに感じたことを本に書き込んだり、気になる部分に線を引いたりします。これは脳科学の「エピソード記憶」を活用したものです。
『死ぬほど読めて忘れない高速読書』48ページより引用
エピソード記憶とは、その字のごとく本にエピソードを残す方法と言い換えられます。
脳には、平常時よりも何らかの変化があったときのほうがより記憶できる習性がある。読書しながら本に書き込むことは、平常時とは違うシチュエーションとなるため、それにより脳に記憶として定着するというのです。
やり方は、重要箇所にペンで殴り書きするだけ。すると、脳はその部分を特別なエピソードとして記憶します。ペンは青色がおすすめで、青色には思考力を高める働きがあるのだそう。また、きれいに書かないこともポイント。思ったこと、重要度が高い部分に、汚くても大きく感情を込めてメモすると効果が上がるようです。
ヒントはノートに書き記すべし
そして、アウトプットは、読書で得た知識を実際に使うことを指しています。著者は、そのためにアウトプットノートをつけることをすすめています。
アウトプットノートは、読んだ本の感想を書き綴るものではありません。そうではなく、読んだ本を行動に結びつけるための指針やヒントになることをシンプルに書いていくものです。
『死ぬほど読めて忘れない高速読書』149ページより引用
本で得た知識(=インプット)をノートをつけることで、仕事や生活で活用(=アウトプット)できるようになります。このインプットとアウトプットの高速サイクルが、人生を豊かに変えるカギとなるようです。
読書をしたのに内容を覚えていない、買ったのに「積ん読」になっている……そんな覚えのある方はこの秋に試してみるのもよいですね。
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秋にやりたいことは?
[ 死ぬほど読めて忘れない高速読書 ]image via shutterstock