歯茎が腫れたり、血が出ていませんか?

お口の健康を取り巻く議論は、どれだけ歯を白く保って、虫歯を作らないかということが主に取り上げられる傾向にあります。歯茎にはあまり注意が払われず、実際、出血したり腫れたりしたときにやっと気になるくらいです。

歯茎はなぜ腫れるの?

では、そもそもなぜ歯茎は腫れてしまうのでしょうか?その原因の多くが、口腔の不衛生な状態にあるそう。

「歯垢は、柔らかく粘りがあって、口の中に絶えずでき、無数の細菌を含んでいます」とニューヨークを拠点とする美容歯科医のカトリス・オースチン医師。「歯垢は歯磨きやフロスで毎日取り除かなければ、毒素を排出し、歯茎はそれに感染し腫れてしまいます」

状況を改善するには、歯磨きの腕を磨くこと(シャレです)。1日に2回、歯ブラシやフロスで歯を磨き、歯茎の中に歯垢をためないこと。

「歯間の取り除き切れなかった歯垢は、次第に固くなり歯石になります。あいにく歯石は、歯ブラシだけで落とすことはできません」とオースチン医師。歯科医院でプロのクリーニングを受ける必要があり、6か月ごとのクリーニングが推奨されています。

体の不調の可能性も!

しかしどれだけ歯のクリーニングに励んでも、歯茎は腫れることがあります。それはなにか体が異変を訴えているのかもしれません。

歯茎の腫れは、決してそのままにしてはいけません。歯科医か医師に診てもらい、あなたに適切な治療法をみつけましょう」とプロビデンス・セントジョン・ヘルスセンターの一般・美容歯科に勤務するカリ・L・サクライ医師。

もしあなたのその歯茎の腫れが2週間経っても引かなければ、歯科医を受診することを専門家は勧めます。ここでは、専門家が教える歯茎が腫れてしまう理由をご紹介します。

1. 歯肉炎

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歯茎の腫れのもっともよくある原因は、軽度の歯周病の一種である歯肉炎です。「細菌や食べ物のかすは、時間が経つと歯垢のフィルムで歯を覆います」とニューヨークを拠点とする歯学博士で歯内治療医のアダム・S・ハーウッド医師。

「きちんとした治療を受けなければ、歯垢は歯石になり、歯ブラシで磨くくらいではたやすく落ちなくなります

最初は全く痛みを感じないため、ほとんどの人が、手遅れになるまで歯垢がたまっていっていることに気付きません。治療を受けないでいると、歯肉炎は歯周炎(重度の歯周病)に姿を変え、歯を失うことにも。

「だから歯茎が腫れ出血があれば、かならず歯科医を受診し、問題を解決することが大切なのです」とハーウッド医師はいいます。重症度によりますが、歯科医はあなたに最適の歯の磨き方を教えてくれます。また必要であれば、経口用の抗生物質や薬用マウスウォッシュを出してくれます。

2. 歯の間に何かがしっかり挟まっている

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一か所だけ歯茎が腫れていれば、それは食べ物のカスが(わずらわしいポップコーンの種とか)歯茎に挟まっているのかもしれません。「体はその異物についている細菌を退治しようとし、その結果周辺の組織に炎症が起こります」とトーロ歯科大学の歯周療法学部長で歯科医学の臨床准教授であるダニエル・レック医師。

「もしその炎症が、ちょっと違和感がある程度から、激しい痛みになれば(特に歯の状態にまで影響してくるようであれば)、歯科医を受診してください」とハーウッド医師。歯科医師は腫れの原因を突き止め、異物を除去してくれます。

3. 感染症

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歯茎の腫れを起こす主な感染症のひとつに歯肉口内炎があります。これは子どもに多くみられますが、大人にも発症します。「ウイルスか細菌のいずれかによる感染症で、口内炎ができます」とハーウッド医師。

私たちの体は時間をかけて感染症を撃退できますが、ほとんどの場合、痛みや不快感に我慢できず歯科医に駆け込みたくなるはず。歯科医は感染した箇所を消毒し、抗生物質を処方してくれます。

4. 新しい薬の副作用

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その副作用に歯茎の腫れがある処方箋薬には、血圧の薬があります。血圧の薬には、ベラパミルやジルチアゼムといったカルシウム拮抗薬が配合されており「これらや、抗てんかん薬のフェニトインなどは、歯茎の細胞を増強させ、歯肉増殖症と呼ばれる歯肉の過形成を引き起こします」(ハーウッド医師)

もし新しい薬を飲み始めてから、歯茎にそのような状態がみられれば、歯科医を受診します。他の薬に変えるか、用量を減らして、歯茎のそれに対する反応を抑えられるはず。

5. ビタミン欠乏症

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今は昔ほどビタミン欠病症の人はいなくなっていますが、「栄養不良が原因で歯茎が腫れている患者さんをみることがあります。特に栄養に偏りがある高齢者に多く見られます」(ハーウッド医師)

お口の健康に全般的にビタミン類はとても大切な役割をもちますが、歯茎の腫れの原因となるのはビタミンBとCの不足です。ビタミンCは歯茎の修復に重要な役割を担い「歯垢による感染や腫れから歯茎を守ります」(オースチン医師)

また、ビタミンKを多く摂るのもいいかもしれません。「ビタミンKが足りないと、歯垢や歯石の細菌に対し歯茎が弱くなり、腫れたり出血したりしやすくなります。」 (オースチン医師)

歯科医とかかりつけ医に、歯茎の腫れの原因が栄養不良によるものか判断してもらいます。栄養不良が原因であると診断されれば、サプリメントで不足している栄養素を補い、バランスの取れた食事に心がけます。

次回の『Prevention』に続きます。

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Krissy Brady/10 Reasons You Should Never Ignore Swollen Gums, According to Doctors/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)

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