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研究でわかった、植物性と動物性タンパク質を一緒に摂るメリットとは?
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研究でわかった、植物性と動物性タンパク質を一緒に摂るメリットとは?

2019-10-23 23:00
    近年、筋肉づくりや美容・健康のために、タンパク質に注目する人が増えています。

    しかしキューサイ株式会社が実施した調査によると、じつは多くの女性が「タンパク質を摂るのは大変」だと感じているとのこと。キューサイ株式会社主催のセミナーに登壇した3人の専門家の講義から、最新の研究成果を生かした「タンパク質摂取のコツ」をご紹介します。

    タンパク質はためられない。前夜が焼き肉でも不足に

    最初に登壇されたのは、ママドクターとして活躍する小児科医の伊藤明子先生(赤坂ファミリークリニック院長)。現代女性に見られるタンパク質不足の一因は、タンパク質の性質にあると話します。

    伊藤明子先生 :

    タンパク質は摂取後すぐに、早いケースでは3分後には胃と小腸で分解・吸収されるので、貯蔵できません。前の晩に焼き肉をたくさん食べたとしても、次の日の朝にはタンパク質が枯渇してしまうのです。

    タンパク質が不足すると、美と健康・メンタルにさまざまな影響を及ぼします。脳内ホルモンも材料はタンパク質なので、認知力が低下したり、イライラや痛みを感じやすくなることも。

    そして40~50代の女性の場合、「タンパク質といえば豆腐」という思い込みも心配だと伊藤先生。豆腐100g中のタンパク質は約8gに過ぎないため、豆腐だけでは足りないと警鐘を鳴らします。

    伊藤明子先生 :

    タンパク質不足を防ぐためには、毎食、植物性と動物性のタンパク質を組み合わせ、手のひらいっぱい分(重さにして約100g)を摂ることです。

    大豆タンパク質が筋萎縮を防ぐ

    二川健教授(徳島大学宇宙栄養研究センター長、徳島大学大学院 医歯薬学研究部 生体栄養学分野教授)は、植物性タンパク質と筋萎縮の関係をレクチャー。二川教授は2010年4月にJAXAと共同で筋肉の細胞を宇宙に打ち上げ、筋萎縮の仕組みについて研究されています。

    二川健教授 :

    無重力の宇宙では、2週間で40%も筋力が落ちます。原因はCbl-b(シーブルビー)酵素。この酵素が筋合成を促す成長ホルモンを破壊してしまうのです。

    このCbl-b酵素を抑制する働きを持つのが、じつは大豆タンパク質。病気などでなかなか運動できない人が筋肉量を減らさないためにも、大豆タンパク質は有効だそう。

    二川健教授 :

    通常の病院食、カゼインを含む食事、大豆タンパク質を含む食事の3通りで調査したところ、大豆タンパク質を含む食事が一番筋力を増強してくれました。この研究の成果が、今後寝たきりや宇宙フライトによる筋萎縮の予防に役立つはずです。

    一方、乳清タンパクのホエイは筋肉合成を高めます。植物性・動物性、それぞれのタンパク質には違った特長があり、同時に摂取することで異なる細胞にシグナルが入って、多方面への効果が得られると考えています。

    タンパク質は「毎食適量」が大前提

    佐々木一さん(神奈川工科大学応用バイオ科学部 栄養生命科学科 非常勤講師)のテーマは、新しいタンパク質摂取の可能性。植物性と動物性のタンパク質をダブルで摂取することで、さまざまなメリットがあるといいます。

    佐々木一先生 :

    利用しやすいタンパク質としては、乳清(ホエイ)タンパク質と大豆タンパク質があります。私はラットを用いた実験で、乳清タンパク質に含まれるα-ラクトアルブミンなどの物質に抗炎症効果があることを発見しました。

    一方、大豆タンパク質は、脂質代謝改善効果が注目されています。閉経後の女性を対象に、一日30gの大豆タンパク質を8週間摂取した調査では、空腹時の血糖値が下がり、LDLコレステロール値も低下することが確認されました(※1)。

    佐々木さんによると、タンパク質は年齢を重ねるほど多めの量を摂ることも重要だそう。

    佐々木一先生 :

    高齢者は若者よりも必須アミノ酸の血中濃度を上げないと、タンパク質による筋合成が始まりません。若者よりも多めのタンパク質、一食あたり25~30g、一日あたり75g~90gのタンパク質が必要です。

    この数値に達しないとタンパク質合成が誘導されないため、せっかく摂っても体外に排出されてしまうのだとか。毎食一定量のタンパク質を摂ることは、健康の基本と考えたほうがよさそうです。

    この日のセミナーを主催したキューサイ株式会社研究開発部の森田愛子さんによると、植物性と動物性のタンパク質をダブルで摂取する「ダブルたんぱく」には、筋タンパク質の合成速度を高める働きも期待されているとのこと。タンパク質の種類によって吸収パターンが異なるため、同時摂取することで効率がよくなる可能性があるといいます。

    タンパク質は、いわば「身体の素」。摂るタイミングや量、賢い摂り方についても、まだまだ改善の余地がありそうです。

    ※1 American Journal of Clinical Nutrition 85:735-741,2007.

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    伊藤明子(いとう みつこ)先生
    赤坂ファミリークリニック院長。小児科医師、公衆衛生専門医。近著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』(講談社)、過去の著書・共著に『天然ヘルシー「調和食」レシピ』『イタリアン・テルメ』など。「林修の今でしょ!講座」「主治医が見つかる診療所」などのテレビ番組に出演。

    二川健(にかわ たけし)教授
    徳島大学宇宙栄養研究センター長、徳島大学大学院 医歯薬学研究部 生体栄養学分野教授。2010年4月にJAXAと共同で筋肉の細胞を宇宙に打ち上げ、筋萎縮の仕組みについて研究。2018年、第3回宇宙開発利用大賞(文部科学大臣賞)を受賞。

    佐々木一(ささき はじめ)先生
    神奈川工科大学応用バイオ科学部 栄養生命科学科 非常勤講師。研究員時代にホエイたんぱく質の抗炎症作用を発見し、病院向けの流動食として商品化。現在は乳清たんぱく質および乳清ペプチドを用いた、筋肉増強作用の解明研究を進めている。

    image via shutterstock

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2019/10/198910protein.html
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