すごく緊張しているわけでも興奮しているわけでもないのに、手がふるえていたら、それはなにか深刻な病気のサインかも。
前回に引き続き、なぜ手がふるえるのか、その10の理由を専門家が解説します。
生きているから 感情が激しく高ぶっている 血糖値が低下している 睡眠が不十分 カフェイン(あるいはその他の物質)の摂り過ぎは、こちら。6. 薬の副作用
image via shutterstockアメリカ国立医学図書館によれば、副作用リストに「手のふるえ」がある薬はひとつやふたつではないそう。
通常、薬物の副作用のふるえは、腕や手、頭を特定の位置に保っている場合に無意識に起こります。
7. 甲状腺が乱れている
image via shutterstock甲状腺が異常に活発になり、ホルモンが過剰に分泌されると、若干手もふるえることがあります。このようなホルモンの分泌量が過剰になる疾患を「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」と呼びます。
甲状腺とは、首の前面にある、体全体の新陳代謝をつかさどるホルモンを出すところです。そのため、甲状腺の働きが強すぎると新陳代謝が高まりすぎて、体全体が消耗してしまいます。
また一方で、甲状腺機能低下症(不活性な甲状腺)でも、「薬の過剰摂取で」手のふるえは起こります、とカプリット医師は説明します。
甲状腺疾患が原因の手のふるえは、ほとんど気付かない程度から、「コーヒーをこぼしてしまう」ほど分かりやすい程度までさまざまです。
8. 心因性振戦
image via shutterstock心因性振戦(しんせん=リズミカルなふるえのこと)は、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的疾患を患っている人にみられます。
潜在意識によって引き起こされる反応で、個々の患者でその出方も異なるため、医師が「一般化」して説明するのが難しい症状です。
米国国立神経疾患・脳卒中研究所によると、それが原因で診断が難しい症状なのだそう。そのことから、医師はふるえの原因を探る際には、まずその他の要因を排除していき、最終的に心因性要因を見ます。
9. 運動障害がある
手にふるえが出る運動障害は多くありますが、その中でも最も多い障害は「本能性振戦」です、とカプリット医師は言います。
「多くの人があまり聞き覚えのない病名だと思いますが、実はその発症率はパーキンソン病の5~10倍もあるのです。有名人がパーキンソン病に罹っているので、その病気を知っている人も多いのですが、本能性振戦の場合は、動いている時にしか症状が出ないせいで、それを隠している患者が多くいます」(カプリット医師)。
このタイプの振戦は「動作時振戦」や「意図振戦」と呼ばれます。飲み物を飲もうとしたり、手紙を書こうとしたりすると手がふるえる、といったような症状が出ます。本能性振戦は、他の深刻な病気のサインではありませんが、重症度によっては、恥ずかしく思ったり、気力がそがれてしまったりすることがあります。
「本能性振戦は、家族歴が認められる傾向があります」とカプリット医師は付け加えます。「全員がそうでありませんが、本能性振戦の患者の6割に家族歴が認められるのです。しかしだからと言って遺伝的疾患だとは言い切れません。なぜなら異常を引き起こす遺伝子は、まだ特定できていないのです」
10. パーキンソン病や多発性硬化症
image via shutterstockパーキンソン病や多発性硬化症と診断されるのは怖いもの。このどちらの病気も神経系に障害を及ぼすものですが、症状の出方はそれぞれで異なります。
パーキンソン病は、中脳の黒質という部分の神経細胞が死んで減っていく、進行性の病気です。中脳のこの部分ではドーパミンが作られ、体の動きや働きを調節します。パーキンソン病に関連して起こるふるえは、神経過敏や本能性振戦のふるえとは大きく異なるものです。
「パーキンソン振戦は、静止振戦と呼ばれます。何もしていないときにも、手がふるえだします。1秒間に3、4回のペースでふるえます」(カプリット医師)。
パーキンソン振戦は、一般的には体の一部から始まり、他の部分に広がっていきます。その他のタイプの振戦は、通常左右対称に起こる事がほとんど。パーキンソン病の患者には他にも、筋肉痛や言語障害といった症状が見られます。
一方で多発性硬化症は、自己免疫疾患で、神経線維を覆っている物質が破壊される病気です。多発性硬化症とパーキンソン病は症状が似通っていますが、多発性硬化症の場合、MRI画像で異常を確認することができます。パーキンソン病ではそれは分かりません、とカプリット医師は説明します。
手のふるえの対処法
image via shutterstock慢性的なストレス、エスプレッソの飲み過ぎ、あるいはお腹がすいていたり、寝不足の状態が原因だったりするようであれば、一番の解決法はライフスタイルを変えること。
たっぷり8時間睡眠をとって、コーヒーを水に変え、おやつをつまむようにしてみて、手のふるえが改善するかみてみます。
それでもふるえが収まらず、体調が悪化してきていれば、速やかに医師を受診します。医師や専門家が適切な対処法を教えてくれます。
その際、診察日までに、ふるえの症状を詳しく記録するとよいかもしれません。不安だったり気分が落ち込んだりしていると、ふるえがひどくなっていない? あるいは携帯でメールを打つ時や、携帯を握っているときに指先がふるえていない? また、家族がかかったことのある病気を確認します。
今服用中の薬をメモしておきます。そして、過剰な飲酒や薬物使用があれば、怖がらず腹を割って正直に伝えます。優秀な医師であれば、あなたのために精一杯、問題解決に取り組んでくれるはずです。
手が震えるのは病気のサインかも
人生のどん底を経験した女性たち。どのようにして立ち直ったのか?
目の充血や吹き出物。深刻な病気につながる9つのサインを見逃さないで
Adele Jackson-Gibson/10 Reasons Why Your Hands Are Shaking (And What You Can Do About it)/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)