「毛包細胞は、体の細胞の中でも特に新陳代謝を活発に繰り返している細胞です」とフロリダを拠点とするボウマン・メディカルグループで育毛・植毛を専門とする医師のアラン・J・ボウマン医師。
「ダイエットによるカロリー制限や食事制限で、タンパク質、ミネラル、必須脂肪酸、ビタミンといった栄養素が不足すると、毛髪の線維がもろくなり、発育も悪くなります。また髪がバサバサになり、抜け毛にもつながります」
基本的な栄養素をしっかり摂れていなければ、体は健康な毛髪を作れないのです。
髪の毛の成長に必要な栄養素は?
image via shutterstock髪の毛がもっとも増えるのは15〜30歳と言われています。そして40歳以降は、そのスピードもスローダウン。ビタミンH(ビオチン)のサプリを摂っても髪の毛をフサフサにはできませんが、以下にあげる栄養素をたっぷり含む食事で、髪を健康的に育てることは可能です。
タンパク質 鉄分 ビタミンA、C、D、E ビタミンB群 オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸 亜鉛 セレン マグネシウム食生活を変えてみても髪に変化がみられなければ、医師の診察を受けることをニューヨークにあるケアマウント・メディカルの皮膚科医であるサルバトーレ・J・ディグランディ医師はすすめます。
抜け毛や髪質の変化は、甲状腺機能の低下や肝臓の問題、あるいは全身性エリテマトーデスといった自己免疫疾患など、他の病気のサインかもしれません。
また「休止期脱毛症」が原因であることも。妊娠・出産、家族との死別、あるいは就職や引っ越しなどの生活の変化といったようなストレスから起こるこの脱毛症の治療には、より多面的なアプローチが要求されます。
でも特に重大な病気でもなく、ただもう少し髪のボリュームや艶を増やすのが目的であれば、どういう食事を摂るかがとても大切になってきます。皮膚科医に、髪を育てる食材をききました。
1. ナッツ
適度なカロリーで健康な脂肪を摂ることは、筋肉や心臓を健康に保つだけではありません。2015年1月に『Journal of Cosmetic Dermatology』誌に報告された研究では、 オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、抜け毛を減らし、毛髪の成長を促す働きがあることが示されています。
「アーモンドやクルミといったナッツ類、それからココナッツオイルは、皮膚や毛包をやわらかく保つ天然の軟化剤です。それに、毛幹も保湿されるので、髪にツヤが出ます」とカリフォルニア州カラバサスのベラ・スキン・インスティテュートの認定皮膚科医、 アナ・D・グアンチェ医師 は言います。
「ナッツや種は、ビタミンB群に加えて、マグネシウム、亜鉛、ビタミンEを多く含みます」とコネチカット州ウェストポートのモダン・ダーマトロジーの皮膚科医であるロンダ・Q・クライン医師は付け加えます。ビタミンEとセレンは互いに補い合い、細胞膜を強くし、酸化を防ぎます。
2. 脂肪の多い魚
タンパク質がとても大切な栄養素なのは、もうおなじみ。「急激にやせたり、あるいはタンパク質や健康な脂肪や野菜・果物に含まれる植物性栄養素が足りていないような食事を摂っていると、髪の毛が薄く細くなります。女性は1日あたりおよそ50gのタンパク質の摂取が必要なのです(※)」とマサチューセッツ州ボストンのメディトレッセで医院長を務めるメアリー・ウェンデル医師は言います。 ※編注:アメリカの場合。日本では、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、1日のタンパク質摂取の推奨量は成人男性は60g、成人女性は50gとされています。
サーモン、ニシン、マグロ、イワシなどの脂肪の豊富な魚は、タンパク質、ビタミンD、オメガ3系脂肪酸と、その他の毛髪の成長によい成分(必須脂肪酸のリノリウム酸など)を摂ることができ、「肌に栄養を与え、毛包の周辺の脂肪層に厚みを持たせてくれます。そうなると、より健康な髪が育つように」とウェンデル医師は付け加えます。
3. 牡蠣
世界保健機関(WHO)は、鉄欠乏症を世界で最も多い栄養障害としており、「人口の約8割が鉄欠乏と言われています」とボウマン医師。「貧血までならないにしても、ごくわずかな鉄欠乏でも抜け毛や薄毛が起こります」
赤身の肉、葉もの野菜、全粒穀物、豆類、卵黄などから鉄を摂ることができますが、ウェンデル医師とクライン医師が、特にすすめるのは牡蠣です。牡蠣には、鉄だけでなく亜鉛も豊富に含まれているのです。
「亜鉛は髪の成長を促進し、ヘアサイクルをサポートする必須ミネラルです」とクライン医師は付け加えます。スモークした牡蠣100gで、おおよそ7mgの鉄分と63mgの亜鉛を摂ることが可能。
4. ほうれん草
ポパイも大好きなこの葉もの野菜もまた、鉄分を多く含みます。ウェンデル医師は、ヴィーガンの鉄分補給源として最適な食材にほうれん草を挙げています。ほうれん草に含まれる鉄分は薄毛を予防。
鉄分を補給できるだけでなく、ほうれん草には葉酸のほか、ビタミンAやビタミンCが多く含まれます。「現代社会ではビタミンC欠乏症はめったにありませんが、ビタミンCは、コラーゲンの合成やケラチン線維の形成といった毛髪線維の生成に不可欠な成分です」とボウマン医師は説明します。
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Karla Walsh, Additional reporting by Alisa Hrustic/0 Best Foods That Will Help Your Hair Grow Thicker and Stronger, According to Dermatologists/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)