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あなたも「アルコール依存症予備軍」かも。自己診断の方法は?
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あなたも「アルコール依存症予備軍」かも。自己診断の方法は?

2019-12-23 20:00
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    「アル中」と聞くと、自分とは遠い世界のことのように思えるかもしれません。しかしアルコール依存症は、お酒を飲む人なら誰でもなり得る生活習慣病のひとつ。

    アルコール依存症がどのような疾患であるのかを知らないために、無自覚に依存症を招く“危険な飲み方”をしている人も少なくないといいます。

    今回お話をうかがったのは、都内でも数少ないアルコール依存症専門の心療内科を営む倉持 穣先生(さくらの木クリニック秋葉原 院長)です。アルコール依存症にまつわる誤解や、簡単に依存症度をチェックできるスクリーニングテストの方法を教えていただきました。

    依存症になりやすいのは“愛されキャラ”?

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    楽しいお酒が大好きで、二次会には絶対参加。酔うと家に帰ってもお風呂に入らないで寝てしまったり、どうやって帰ってきたか思い出せなかったり……。こうした“お酒あるある”が日常茶飯事という人は、もしかしたら「アルコール依存症予備軍」かもしれません。

    倉持先生いわく、アルコール依存症は「お酒に強い人」がなりやすい疾患。私たちが思うより、「お酒好き」と「アルコール依存症」との距離は近いと話します。

    倉持 穣 :

    世間には「アルコール依存症=アル中=意思の弱いダメ人間」といった偏見がありますが、実際には仕事もできてお酒も飲めて、“愛されキャラ”な人なのに……といったケースが多い。ふつうにお酒を楽しんでいるつもりでも、一歩先は依存症ということがある。それをもっと多くの人に知ってほしいですね。

    アルコール分解酵素の働きが高く、飲んでも顔が赤くならない“酒豪”タイプは要注意。 一転して依存症になる場合があると話します。

    アルコールは強力な依存性薬物

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    そもそもアルコール依存症とは、いったいどのような疾患なのでしょうか。

    倉持先生によると、アルコールは脳に直接作用して、陶酔感、多幸感などの快楽を与える精神作用物質。これを頻繁に使用すると、脳内の「報酬系」と呼ばれる回路に不可逆的な変化が起こり、弊害が生じても使用をやめられなくなります。そのため、精神作用物質は依存性薬物とも呼ばれます。

    倉持穣 :

    アルコールは合法ですが、強力な依存性薬物でもあります。薬物のタイプとしてはアヘン類(モルヒネ、ヘロインなど)に近く、脳の活動を抑制してリラックス感を与えてくれるダウナー系。使いすぎれば誰でも依存症になり、さまざまな障害が起こります。

    アルコール依存症の一次障害としてあらわれるのは、慢性進行性・不可逆性の「飲酒コントロール障害」。お酒を飲むと、しばしば飲みすぎてしまうようになり、その結果としてさまざまな二次障害が起こります。

    肝硬変やうつ病といった病気になる人もいれば、ブラックアウト(記憶喪失)、酒乱、暴力、家庭崩壊、休職、ギャンブル依存症合併といった形で苦しむ人も。どんな二次障害が起こってくるかは患者の個性により変わるもので、個人差が極めて大きいといいます。

    簡単テストで「アルコール依存症度」をチェック

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    「もしかして、自分にはアルコール依存症の傾向があるかもしれない」と不安を感じた人は、ぜひ下記の簡単なテストを試してみてください。なお、アルコール量の目安は下記のイラストを参考にしてください。

    【アルコール依存症スクリーニングテスト】

    (1)~(10)の質問の選択肢のうち、当てはまる回答にチェックをつけ、点数を加算し合計を出してください。

    (1)あなたはアルコール含有飲料をどのくらいの頻度で飲みますか?
    0.飲まない
    1.1ヶ月に1度以下
    2.1ヶ月に2~4度
    3.1週間に2~3度
    4.1週間に4度

    (2)飲酒するときには通常どのくらいの量を飲みますか?(1ドリンク=純アルコール10g)
    0.1~2ドリンク
    1.3~4ドリンク
    2.5~6ドリンク
    3.7~9ドリンク
    4.10ドリンク以上

    (3)1度に6ドリンク以上飲酒することがどのくらいの頻度でありますか?
    0.ない
    1.1ヶ月に1度未満
    2.1ヶ月に1度
    3.1週間に1度
    4.毎日あるいはほとんど毎日

    (4)過去1年間に、飲み始めると止められなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
    0.ない
    1.1ヶ月に1度未満
    2.1ヶ月に1度
    3.1週間に1度
    4.毎日あるいはほとんど毎日

    (5)過去1年間に、普通だと行えることを飲酒していたためにできなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
    0.ない
    1.1ヶ月に1度未満
    2.1ヶ月に1度
    3.1週間に1度
    4.毎日あるいはほとんど毎日

    (6)過去1年間に、深酒のあと体調を整えるために、朝に迎え酒をしなければならなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
    0.ない
    1.1ヶ月に1度未満
    2.1ヶ月に1度
    3.1週間に1度
    4.毎日あるいはほとんど毎日

    (7)過去1年間に、飲酒のあと罪悪感や自責の念にかられたことが、どのくらいの頻度でありましたか?
    0.ない
    1.1ヶ月に1度未満
    2.1ヶ月に1度
    3.1週間に1度
    4.毎日あるいはほとんど毎日

    8)過去1年間に、飲酒のため前夜の出来事を思い出せなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
    0.ない
    1.1ヶ月に1度未満
    2.1ヶ月に1度
    3.1週間に1度
    4.毎日あるいはほとんど毎日

    (9)あなたの飲酒のために、あなた自身か他の誰かが、けがをしたことがありますか?
    0.ない
    2.あるが、過去1年にはなし
    4.過去1年間にあり

    (10)肉親や親戚、友人、医師、あるいは他の健康管理にたずさわる人が、あなたの飲酒について心配したり、飲酒量を減らすように勧めたりしたことがありますか?
    0.ない
    2.あるが、過去1年にはなし
    4.過去1年間にあり

    チェックした回答の数値を合計し、点数を出してください。合計点による診断は下記の通りです。

    あなたのアルコール依存度は?

    合計12点以上…アルコール依存症予備軍 合計15点以上…かくれアルコール依存症 合計20点以上…アルコール依存症の疑いが濃厚 合計24点以上…アルコール依存症患者の平均点

    倉持穣 :

    これはWHO(世界保健機関)が作成した、「AUDIT(Alcohol Use Disorder Identification Test)」と呼ばれるアルコール依存症のスクリーニング(分類)テストです。
    2016年の調査報告では、日本人のうち「AUDIT」テストが12点以上の「アルコール依存症予備軍」は593万人でした。しかし、2002年~2016年までの厚労省の患者調査によると、アルコール依存症の「患者総数」はおおむね4~6万人で推移しています。残りの人たちのほとんどは、自分がアルコール依存症になるかもしれないとは考えてもいないでしょう。このギャップは、非常に大きな問題です。

    倉持 穣先生に聞く「アルコール依存症の基礎知識」。後編ではアルコール依存症になりやすい性格タイプや、依存症を防ぐアルコールとの付き合い方をお届けします。

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    倉持穣(くらもち じょう)先生

    さくらの木クリニック秋葉原 院長。茨城県水戸市出身。精神科医。1988年、東北大学医学部卒業。東京医科歯科大学精神科、東京都立広尾病院神経科、東京都教職員互助会三楽病院精神神経科(医長)、柏水会初石病院(医局長)などに勤務。2014年、さくらの木クリニック秋葉原を開院。同院院長。精神保健指定医、精神科専門医、精神科指導医、日本医師会認定産業医。専門は、一般臨床精神医学、アルコール精神医学。著書に『クリニックで診るアルコール依存症 減酒外来・断酒外来』(星和書店)がある。

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2019/12/204226sp_eat_too_much_alcoholism01.html
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