「しこり」はないと思って、安心してはダメなようです。
乳がんに自分で気づくサインとしては、しこりの有無がよく知られています。しかし、しこり以外でも乳がんに気づくことができることを、アメリカの女性報道記者がエッセイで伝えています。彼女の命を救った“あるもの”とは?
右胸におかしなくぼみが……
NBCの報道記者クリステン・ダールグレンは、マンモグラフィー検査で陰性と出てから5か月後に乳がんと診断されました。クリステンは『Today』誌のエッセイで、この数か月間に何があったのか書いています。すべては右胸におかしなくぼみを発見したことから始まったと。
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それは47歳の誕生日。友人たちと会う支度をしているところでした。「そんなちょっとしたくぼみなんて、それまで気づきもしなかった。定期的なセルフチェック(自己検診)にはあまり熱心な方ではなかったし。でも、そのときばかりは気になりました」と、クリステン。
乳がんで一番よくあるサインは、塊のようなものや硬いしこりだということはクリステンも知っていましたし、それは感じませんでした。でも、くぼみの下が「厚くなっている」と気づいたのだそう。
そのときは、乳がんなんて思いもしなかったとクリステンは言います。「私は40代。活動的で、早くに乳がんになった家族もいません」
そのためクリステンは、くぼみを診てもらうのを先延ばししようかと思いました。でも、夫が延期に同意せず、さらに、自分自身が以前にレポーターの仕事で調べたデータも気になり始めました。乳がんと診断された女性の6人に1人は、最初に現れるサインが「しこり」ではないという研究結果です。
乳首のへこみや痛みも気をつけて
image via shutterstockクリステンが実際にインタビューしたある女性は、胸の形がほんの少し変わったと気づいた直後に、乳がんと診断されていました。(しこり以外の乳がんのサインとしては、オレンジの皮のような皮膚のへこみ、皮膚の炎症、胸や乳首の痛み、乳首が内側に引っ込む、分泌物、皮膚の色の変化、腫れなどがあります)
こうなると、急いで答えを知る必要があります。そこでクリステンは、ノースカロライナで仕事があった際に病院に行き、超音波検査を予約。数日後に乳がんのステージIIと診断されました。「あのレポートをしていなかったら、胸に起きた変化を無視していたかもしれません。がんならマンモグラフィーでわかるはずと思い込んでいたかも」と、クリステンは書いています。
「その後、(マンモグラフィーの)有効性は87%のみで、私のようなデンスブレスト(高濃度乳房)の女性では感度が低いと知りました。それに、しばらくはマンモグラフィーも受けなかったかもしれません。認めたくはありませんが、数年間定期検診を受けなかったこともありましたから」
定期検診、セルフチェックを怠らないで
image via shutterstock診断を受けたあと、クリステンは人生を変えたあの仕事でインタビューした医師と再会しました。そして「もし私が自分の記事で救われたとしたら、必要とする女性はどれほどいるのでしょう?」と聞くと、「私たちが思っている以上に、よくあることなのです」との答え。
残念ながら、そのとおりなのです。でも、乳がんを予防したり、早期に発見したりするためにできることはたくさんあります。デンスブレストかどうかや家族の医療歴を知る、活動的に過ごす、適切な食べ物をとる、必ず定期検診を受けてセルフチェックをまめに行うなど。
現在、化学療法を受けているクリステン。「今は順調です。前向きですばらしい医師たちがいて、思っていた以上のサポートを受けています」とのこと。
そして、「(治療は終わっていないし)まだ先は長い」ものの、自分の話を読んだほかの女性が、胸に何かおかしなことを感じたら医師に診てもらう気になるようにと願っているそうです。
乳がんは早期発見が大事
乳がんリスクが高い「高濃度乳房(デンスブレスト)」の通知、今後どうなる?
Kayla Blanton/NBC’s Kristen Dahlgren Almost Ignored the Breast Cancer Symptom That Led to Her Diagnosis/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)