「スマートコンタクトレンズ」で眼の健康管理が可能に?

未来の眼科医は、患者が眼に装着したコンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスで眼の健康状態を管理するようになるかもしれない――。そんな「スマートコンタクトレンズ」の実現を感じさせる研究結果が、韓国から報告されました。

研究チームは今回、視力の矯正と同時に、視力障害の兆候のモニタリングや点眼薬の投与を助ける目的で、微小電子回路とバッテリー、アンテナを搭載したソフトコンタクトレンズを開発。ウサギとヒトを対象に、その試作品を用いて、実用化に向けた検証実験を行いました。

今回開発されたスマートコンタクトレンズは、装着したときに眼に刺激を感じたり、熱による不快感や視野障害が生じたりしないように、一般的なソフトコンタクトレンズと同じくらい小型で、柔軟性があるように設計されています。理論的には、このようなデバイスで涙液を継続的にスクリーニングすれば、緑内障や糖尿病などの兆候を早期に発見することができるとのことです。

最新の3Dプリンター技術を駆使! ワイヤレスで充電も可能

それを可能にしたのが、「直接インク書き込み法(direct ink writing)」と呼ばれる最先端の3Dプリント技術。これにより、複数の微小な電子回路が重なっている層を、超極薄のペーストを使って、コンタクトレンズの外縁に追加しました。ペーストの部分はミニチュア版のエネルギー貯蔵システムとして働く「固体スーパーコンデンサ」になります。コンデンサはいつでもワイヤレス充電可能で、コンタクトレンズの外縁まで張り巡らされた超極細繊維のナノファイバーに電力が供給される仕組みになっています。

研究チームは「最終的にはかさばらず、硬くもなく、余計な熱も放出しないスマートコンタクトレンズが完成しました。涙液に1週間さらされても、内蔵した電子回路の機能に問題はありませんでした」と解説しています。

では、安全性には問題はないのでしょうか? 今回の研究では、ウサギとヒトで、このコンタクトレンズを10分間装着したときの装着感とワイヤレスでの充電システム機能を検証しました。

その結果、眼の充血などの不快感の兆候はまったく認められず、ヒトの実験では視野には影響がないことが報告されました。ただし、現時点では、安全性の確認が十分にできていないことから、大規模な臨床試験はまだ計画されていないとのこと。実用化はかなり先になる見込みです。

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HealthDay News 2019年12月10日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock

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