こんな症状は、かぶれかもしれません
マスクが欠かせない今、「ニキビが治らない」「頬に赤みや湿疹が出た」「顔がかゆい」といった“マスク肌荒れ”に悩む声を聞きます。
マスク内は湿度の高い状態が長時間続くことで、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。そこに汗とメイクが相まって、ニキビや吹き出物、かゆみなどの肌トラブルが起こります。
また、マスク下で顔の筋肉を使わない状態が増え、血流が下がって代謝も落ちてしまうため、肌トラブルは治りにくい状態にあります。
ただし、以下のような症状があれば、単なる肌荒れではなく、かぶれ(接触性皮膚炎)の可能性があります。
□赤みがある
□かゆみがある
□痛がゆい
□熱をもつことも
□ヒリヒリ、ピリピリする
□ブツブツができる
□水ぶくれなどが混ざることもある
□ジクジクした感じから時間が経つとガサガサする
これらの症状は、ひとつだけのこともあれば、いくつも重なることもあります。
マスク肌荒れは、素材と摩擦に注意
これらの肌荒れやかぶれの大きな原因には、マスクの「素材」とマスクによる「摩擦」があります。
自分の肌にあった素材のマスクを探すのはもちろんですが、マスクの下に肌への少ないガーゼなどの素材を挟んだり、マスクの皮膚に接触する面が少ない立体的なマスクなどに変えてみるのもいいでしょう。
ゴム紐の摩擦でかぶれてしまう場合は、ゴム紐がないマスクやゴム紐を耳にかけなくするアイテムもあります。
マスクで隠れていても、保湿とUVケアを念入りに
マスク下の汗と化粧品の汚れをしっかり落とすためにも、この時期は丁寧に洗顔をしましょう。
また、肌のバリア機能を高めるためにも、保湿は重要です。皮脂分泌が過剰になっているときこそ、バリア機能が乱れているサインですので、いつも以上に保湿を心がけます。
メイクの上からでも使えるスプレータイプの化粧水もおすすめです。使用する化粧品は、抗酸化作用のあるものが良いといわれています。
マスクをしているからといって手を抜かず、マスクの下も保湿と紫外線対策を忘れずにおこないましょう。
女性ホルモンの変動が、肌荒れに追い打ちをかける
マスクの素材と摩擦による肌荒れに加えて、肌荒れに追い打ちをかけるのが生理周期。下記のうち、肌荒れは「PMS期」に起こりやすい症状です。
□生理開始日~7日目 ⇒「生理期」
□生理開始8~14日目 ⇒「ハッピー期」
□生理開始15~21日目 ⇒「ニュートラル期」
□生理開始22~28日目 ⇒「PMS期」
※日数はおよその目安で、個人差があります。
生理前に黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になったり、PMS期のストレスで交感神経が優位な時間が続いたりすると、皮脂分泌が活発になります。毛穴の詰まりはニキビ、吹き出物の原因にもなりますが、自分の皮脂に肌が負けて、かぶれやすくもなります。
また、体温が上がって、のぼせ、むくみなども起こるため、体調変化が肌のコンディションに影響することも考えられます。
対策は、ストレスケアで副交感神経を優位に
肌は、自律神経でコントロールされていると言っても過言ではありません。ですから、自律神経が乱れやすいPMS期や更年期は、より一層ストレス対策に気を配って、副交感神経が優位になるリラックスできる時間をつくりましょう。
さらに、肌代謝や免疫力をあげるためにも、運動は大切です。リラックス効果のある運動なら、ストレス対策にもなり、一石二鳥です。
高脂質、高糖質の食事を控えることも大切
肌細胞がつくられる原料は、食事です。肌のためには、高脂質、高糖質の食事を控え、腹八分目の和食を心がけましょう。
高脂質、高糖質の食事は、かぶれを誘発しやすい不飽和脂肪酸の皮脂分泌を盛んにします。皮膚の炎症が女性に大敵なのは、皮膚老化を促進する“炎症老化”を引き起こしてしまうからです。
納豆、青魚などを積極的に食べてタンパク質を補いましょう。抗酸化作用のあるビタミンCやB群、鮭などに含まれるアスタキサンチンもおすすめです。
良好な肌コンディションを保つために、ストレス対策、食事、運動と、トータルで気を配っていきましょう。
マスクトラブルを解決!
皮膚科医が教える、肌荒れを防ぐコツ。意外なマスクのつけ方とは?
増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ
image via Shutterstock