本当のことしか言わない
ヘアメイクアップアーティストとして活躍しながら、ファッションブランドとのコラボアイテムは即完売、ウェブ連載終了後に書籍化を求める声が1000件以上届き、自身のコスメブランド「rihka(リーカ)」のネイルポリッシュは発売のたびに売り切れ続出。
松田さんが携わるアイテムがこんなにも共感を集める理由はなんでしょうか。この問いには、こんな言葉が返ってきました。
「普段からいいと思うものしかいいと言わないと決めています。インスタグラムを通して知ってくれている方たちは、私が本当のことしか言わないとわかってくれているのではないかなと思うんです。会ったことはなくても信頼関係が生まれているのかもしれません。rihkaの背景から好きになってくれる方もいるから、とてもありがたいことだなと思っています」
ヘアメイクアップアーティストの松田未来さん自分自身のことをもっと好きになってほしいから
「すべての人に光と救いを」。rihkaの背景とは、そんなブランドコンセプトのことです。その根底には、初めてパーマをかけた15歳の頃から変わらない気持ちがあります。
「美容師だった頃、ヘアメイクの仕事やコスメ作り……アウトプットの形は違いますが、どの仕事も『自分を認め、自分のことをもっと好きになって、明日が楽しみになるようなお手伝いをしたい』と思っています。そのために私ができることをしていきたいとも。
コスメのプロデュースはいつかできたらと思っていたことのひとつで、ふとお話をいただいて実現できました。使ったときに“私っていいかも”と思ってもらえたり、自信が湧くことで行動が変わったりする。そんなきっかけになるプロダクトを提供したいなと思っています」
rihkaのネイルポリッシュには、松田さんの愛猫の名前である「madeleine(マドレーヌ)」(モデル&右列中央)や、猫の肉球をイメージした「coussinet(クシネ)」(右列上)などの色名がつけられている。右列下は「tan(タン)」。各2790円(税込)落ち込んだときに、いつも学びがある
やりたいことに向かってまっすぐ生きる松田さんですが、ときに落ち込むこともあるそう。しかし、そんな経験についても「得られることがある」と笑顔で話します。
「落ち込んだときに、いつも学びがあるんですよ。落ち込むことがなければ私らしくないかなとも思います。落ち込むことは痛いけれど、落ち込まないと今の自分はない。
稀にですが、SNSでひどいことを言われることもあります。でも、だからこそ何かで傷ついた人の気持ちを想像することができます。
これからも落ち込むことはあると思うけど、それを乗り越えていける自信はあります。そのときに、さらに強くて優しい自分になっているのがわかっているから、転んでもただでは起きたくないじゃないですが、つらい思いをしたぶん、何かを得て前に進みたいんです」
コンプレックスをチャームポイントに変えて
さらに、「私は誰かに出会ったら、その人のいいところ、かわいいところを見つけて伝えていきたい」とも話してくれました。
「持って生まれた自分のパーツのなかから“お気に入り”をひとつでも見つけて、そこをさらに磨いてみてほしいんです。そうすると自然と他のところにも自信が持てるようになっていくと思うんです。デコルテのケアをしていたら、首筋まできれいになっていくように。美容師だったころから今も昔も、そんな“その人のお気に入り”を見つけるお手伝いをしたいという気持ちはずっと変わりません」
新作はアイシャドウが苦手な人にこそ手にとって欲しい
そして、2021年5月1日には、新作であるリキッドアイシャドウが発売に。
「アイシャドウを塗ると"メイクしています感"が出て苦手、という声をよく聞いていたんです。その気持ちを尊重しつつ、かわいくなれるものをつくりたいと思いました。いつもの顔やファッションをじゃましないけれど、つけるとより素敵になれる。そんなアイテムになっていると思います。
アイシャドウをアップデートすることで、新しい場所に行ったり人と話してみたりと、いろんなことへの足取りも軽くなるんじゃないかとも思っているんです」
8色のニュアンスカラーと2つの質感が揃うアイシャドウ「plump eyepolish」。モデル使用色は「sheer gloss」タイプの「coussinet」。各2500円(税込)また、「そのメイク似合わないよ」「そのリップはやりすぎじゃない?」というような、人のお化粧についてとやかく言うことも好きではないそう。
「自分が気に入ったコスメで、使ったときに自分の気持ちが上向きになったり、少し自信がもてたりすることが大切だと思うんです。これからも私らしく、世の中を救うなにかにしてアウトプットしていきたい。そう思っています」
松田未来(まつだ・みらい)
ヘアメイクアップアーティスト、コスメブランド「rihka(リーカ)」ディレクター。関西でのサロンワークを経て、2016年より東京でヘアメイクアップアーティストとしてのキャリアを本格的にスタート。現在はファッション誌、広告などさまざまな媒体で活躍。2020年9月に初の書籍『私が私らしく生きる美学』(双葉社)を出版。
1,650円
撮影/キム・アルム
前編はこちら
大切な友達と接するように、自分と接して/ヘアメイクアップアーティスト・松田未来[前編]