「おせち」は、もともと季節の変わり目の節句に、年神様に供えるための料理「お節供(おせちく)」が語源になっています。やがて、年に何回かある節句の中でも、お正月がもっとも重要な節句ということから、正月料理に限定して「おせち」と呼ぶようになったそう。
当初は、松の内の間(1月1日〜7日もしくは15日)はずっと食べるものでしたが、しだいに三が日に食べるように。正月三が日は、主婦を家事から解放するという意味を含め、保存の効く食材が中心のものになったといわれています。
「おせち」は年神様に供えるための料理であるとともに、家族の繁栄を願う縁起物の家庭料理でもあります。そのため、めでたさが重なるようにと、お重を重ねることが通例。地方や家庭ごとにお重の中身はさまざまですが、壱の重には、おとそを祝うための祝い肴である数の子、黒豆、田作りや紅白かまぼこ、伊達巻などを。弐の重は酢の物に、ブリの照り焼きなどの焼き物などを。参の重は我が家の自慢料理。お煮しめなどをたっぷりと詰めます。
「おせち」に詰める定番のお料理の意味は以下の通り。
・黒豆…「まめ」は元来、丈夫・健康を意味する言葉。「まめに働く」という意味も。・数の子…たくさんの卵があるというところから、子孫繁栄の願いが込められています。・田作り…稲の豊作を願う気持ち、五穀豊穣の願いが込められています。・昆布巻き…「よろこぶ」の言葉にかけて、一家発展の縁起ものです。・きんとん…「金団」と書き、その色から財産、富を得る縁起物とされています。・紅白なます…紅白のおめでたい色は水引を表し、平和を願う縁起物です。
最近では、手作りできなくても、単品や少量で購入しやすくなっているので、今年のお正月は日本人の基本に戻って、「おせち」を用意してみてはいかがでしょうか!
[お正月ニッポンプロジェクト]
photo by Thinkstock/Getty Images
text by 中澤小百合
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ビジネス系出版社を経て、フリーランスのライターに。会社員時代に酷使してしまった心と体を癒すべく、暮らしに取り入れた自然療法の魅力にはまり、現在はアロマ、ハーブ、フラワーエッセンス、各種セラピーに関する記事を主に執筆。ペット専門誌で犬のホリスティックケアや愛犬とのロハスな暮らしの提案も。日本メディカルハーブ協会認定ハーバルセラピスト。
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