©Terre de FEMMES
「一日分の野菜が入ったバッグを七つ家の外におけば、一週間分の食事が確保できる」
そんな考えのもと、貧困にあえぐ地域の人々の栄養状態を良くするために、ある一人の農学技術者である女性が、広大なプロジェクトに着手しました。
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その女性とは、Peggy Pascalさん。内戦や暴動で荒廃したケニアには、スラム街が多く存在し、ほったて小屋での生活を強いられている家族が多くいます。2008年以来、その様子を実際に目にしてきた彼女は、この画期的な"野菜バッグ"を発明しました。
この"野菜バッグ"は、広大な面積がなくても、そして栽培のノウハウがなくても、ひとりでに野菜が育ってくれる、というコンセプトのバッグです。とくに、子どもにたっぷりと栄養をあげることができないでいたケニアのお母さん達には、とってもありがたいものです。
©SOLIDARITES INTERNATIONAL
"野菜バッグ"は、ジュートの生地でつくったバッグのようなポットに、土と石を入れ、排水の状態を良くしたうえで、キャベツやほうれん草などを植え、継続的に栽培できるようにしたもの。住んでいる場所の土が栽培地に適していなくても、この野菜バッグを小屋の前にいくつも置くことで、新鮮な野菜が継続して食べられるのです。
24万の"野菜バッグ"を無料で配布2013年現在までに、「Solidarités International」というNGO団体を通じ、約24万もの"野菜バッグ"が貧民街の家族に無料配布されました。また、フランスで、農業や環境の向上に貢献した女性に送られる名誉ある賞「Terre de FEMMES」に選ばれ、その賞金は、さらなるバッグの配布に役立てられるのだそう。
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また、"野菜バッグ"に関連する仕事を始めらる人もでてくるなど、ケニアの人々の生活の糧になっている一面もあるようです。
Peggyさんがこの賞をもらったのは、今年お子さんを出産した翌日のこと。ご自身が重ねてきた、勇気ある決断力がこうして実を結んだことにこちらも拍手を送りたくなります。
[Terre de FEMMES]
(下野真緒)