© A Philip Groning FilmProduction

仕事に家事に育児に。毎日バタバタで、あっという間に時間が過ぎてしまいます。忙しい日々だからこそ、日常を離れ、しばし、静寂につつまれてみませんか?

構想21年!ついに日本公開

7月12日より公開になる映画『大いなる沈黙へ』は、フランスのアルプス山脈にあるグランド・シャルトルーズ修道院の生活を初めて紹介するドキュメンタリー作品。

グランド・シャルトルーズ修道院は1084年に設立され、カトリック教会の中でも最も厳しい戒律で知られています。修道士は庭に囲まれた平屋建ての建物の中にある房で生活をし、1日の大半を1人で過ごすんです。毎日礼拝が行われるのですが、驚いたのは、夜中にも祈祷があること。さらに沈黙を守る時間帯がたくさんあり、修道院では基本的に訪問者もラジオもテレビも許されません。

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このような生活を何世紀にもわたり送ってきた修道士たち。

そんな俗世間から完全に隔絶された修道院での撮影は、もちろん容易なものではなく、監督のフィリップ・グレーニングが撮影を申し込んだのは1984年。そして、返事がきたのは、それから16年後のこと。撮影の条件は、音楽なし、ナレーションなし、照明なし。そして、中に入れるのは監督だけ。彼は修道院の一員として、日々の勤めをこなし、6ヶ月近くも修道院で過ごし、こうしてついに構想から21年。映画は完成するのです。

静寂に包まれた修道院のピュアな映像

CGや3Dを使用した映画が増える一方で『大いなる沈黙へ』は実にシンプル。

光は自然光のみ。何も手を加えていないピュアな映像ばかりなので、季節の移り変わりやその美しさがダイレクトに伝わります。普段私たちは、たくさんの音に囲まれているので、静寂に包まれている修道院を見ていると、「音」に対する感覚も変わっていきました。

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上映時間は2時間49分と決して短いわけではありませんし、ドキュメンタリーなので、ドラマティックなことは起きません。しかし、静寂の中でも唯一会話が許される時の修道士たちの様子はとても微笑ましかったですし、2時間49分観たからこそ、最終的に彼らの言葉や表情にしっくりくるんです。それらをどう読み取るのか?観る、わたしたちに課せられている気がしました。

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テクノロジーの発展など、日々どんどん進化を遂げる現代社会。目まぐるしい生活とは遠く離れた場所では、わたしたちと同じ時代に生きながらも、全く異なる時間が流れていました。映画を観終わって外に出ると、街の音がとても大きく感じたのと同時に、どことなく、デトックスされたようなすっきりした気分にもなり、すぐにメトロにも乗らずにゆっくりお散歩をして帰りました。

この夏、忙しくてどこにも行けない人はたったの3時間で、見たこともない別世界に連れていってくれます。しばし、あなたも静けさに向き合ってみませんか?

[大いなる沈黙へ-グランド・シャルトルーズ修道院]

7月12日(土)より岩波ホールほか、全国順次ロードショー
© A Philip Groning FilmProduction
2005/フランス・スイス・ドイツ/カラー/169分/原題:DieGrosse Stille
配給:配給:ミモザフィルムズ
監督・脚本・撮影・編集 フィリップ・グレーニング

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