「好きな人とずっと一緒にいたい。だから結婚して生活を共にしたい」。この考えが日本では一般的だと思います。けれど、好きだからといって一緒に暮らす必要があるだろうか。そう考えるカップルが近頃、世界では増えているのです。
新しい関係のあり方として、オランダ人ジャーナリスト、ミシェル・バーキエルさんが命名した 「Living Apart Together (通称LAT)」と呼ばれるものがあります。これは、別べつに住みながらパートナー関係を続けるというスタイルで、映画監督のウッディ・アレンさんとミア・ファロウさんの例が挙げられます。
LATを選ぶ人びとLATのメリットは、相手の悪い面が見えすぎることもなく、いつまでも新鮮で楽しい関係をリラックスして維持できること。
では、どんな人がLATを選んでいるのでしょうか。マンハイム大学のアレクサンダー・ノヨン教授はこう説明しています。
LATを選ぶのは、だれかと共同生活をしたことのある人びとです。他人と一緒に住むのがいかに難しいかを知っているから、あえてLATを選び、相手に合わせることはしないのです。女性は離婚したあと、ひとりで自由な時間を過ごすことに慣れてしまい、LATを選ぶ傾向があります。
「APOTHEKEN Umaschau」より引用
だれかと暮らすということは、料理や洗濯といっったさまざまな家事の負担が大きくなるということ。家事は女性の仕事だと考えるパートナーと暮らすよりは、LATは女性にとってラクではあります。
新しい生活モデルノヨン教授によると、ドイツ国内におけるLAT人口は40歳を境にグンと伸びているそう。
別べつに暮らすことを選んだ人たちは、自分たちでそう望んだのだから、平均以上よりは幸せだと回答しています。別れたいときに、あっさり別れることができるのもLATの長所といえるでしょう。
「APOTHEKEN Umaschau」より引用
個人の幸せが重視される現代。一緒の空間を分けあうことをそれほど重要に思わない人が増えたということでしょう。型にとらわれない、自由な関係。日本でも広がる日がやってくるのでしょうか。
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