窓やドアに風除けの板を打ち付け、外に置いてあるものを室内に移動させ「こんなもんでしょ」と台風対策を終わらせたのですが......。いざ始まったら、ドカーン、ドッシャーン、ビュービュー、ゴオオオオオーーーーーと、何やら音が予想と違う!隙間から外を眺めるも、樹々が風を受けて今にも根っこごと持っていかれそうです。
やがて約束したようにプツン、と停電し「ああ......」と家族みんなでため息。
「パソコンは消す。冷蔵庫をむやみに開けない。日のあるうちにごはんを炊いておく。水浴びもしておく」などなど、後はやれることを速やかに行います。
息子がぽつり「あのさ、台風のときって、なんか静かだよね」と言いました。外は豪雨と暴風雨のパレードですが、家というシェルターのなかは普段より静かに感じます。それはみんな、祈るような気持ちで耳を澄ましているからでしょうか。日が暮れたらもう就寝。台風の気圧のせいで、身体がぐったりしているのでよく眠れます。こんこんとひたすら眠り、そして夜明け。真っ赤な朝焼けがきれいでした。
風もある程度止んだようだし、ちょっと家の周りをパトロールです。いやはや、いろんなものが飛ばされていました。木も倒れているし、草もすっかり地面に這いつくばっています。ほとんどの葉は黒く枯れて、なんだか冬が来てしまったかのよう。鶏はなんと、薪風呂の釜のなかに避難していました。台風中だったのに、ちゃんと卵も産んでいて......。偉いなぁ、君たち。
沖縄は、こんなふうに台風という破壊を受けて、そしてまた再生を何度も何度も繰り返している土地なんだなぁとつくづく感じました。
数日後、ようやくの晴れ間。朝から窓を全開に、拭き掃除に掃き掃除、洗濯と家事に精を出します。赤ん坊にとって初めての台風。かなり強力な自然の洗礼を受けたのでした。