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レバノンから学ぶ、都会の自給自足アイディア
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レバノンから学ぶ、都会の自給自足アイディア

2015-11-21 00:00
    地球上の人口の半分は都会に住み、その数は増加の傾向にある現在。都会での食料自給率は低下の一方です。

    都会での地産地消を目指して

    都会の屋根の上で、野菜を作ってみてはどうだろう? 」そんなアイディアを、カナダ・モントリオールで形にして見せたのが、Lufa Farmsです。2009年にLufa Farmsのプロジェクトを立ち上げたのは、レバノン出身のMohamed Hageさん

    僕の住んでいた村では、(村民が食べるものは)みんな村で作っていたんだ。

    Mr.Mondialisationから翻訳引用)

    その経験から、都会で食べるものは都会で供給できないかと考えたのがはじまりでした。

    世界初ビルの屋根の上の「ファーム(農場)」が開かれたのは2011年のこと。屋根の上で水耕栽培された野菜たちは、夜のうちに収穫され、翌日新鮮なうちにモントリオールの住民に配達されます。

    注文はインターネットででき、好きな野菜を組み合わせることも可能。町に約150か所ある配達ポイントは、カフェやスポーツジムのように、住民が良く利用する場所を選んであります。

    若者からお年寄りまで、口コミで広まり、今では、モントリオール市内の6,000戸に野菜を供給する規模になりました。

    屋根の上が農場にぴったりな理由

    屋根の上で栽培することの利点はいろいろあります。Lufa FarmsのオフィシャルサイトとMr.Mondialisationの記事から、主な点を抜き出してみました。

    ・特に土地を必要としないこと。土地の足りない都会では、大きな利点です。

    建物の発する熱気を利用できること。そのため、地面に置かれた温室と比べて、消費エネルギーは半分で済みます。真冬にはマイナス40度まで気温が下がることもあるモントリオール。省エネは大きなポイント。

    ・屋根の上の温室は、建物にとっても断熱効果をもたらすため、建物の空調費も削減できる

    ・高い位置にあり、陰がないので、太陽光を100%享受できる

    ・都会の二酸化炭素の多さも、植物にとっては、栄養の多さであること。

    雨水を利用するには、最高の場所であること。(Lufa Farmsによると、普通の農場と比べて水の使用を50~90%節約できるそう)

    害虫削除には、ミツバチ部隊とテントウムシ部隊

    Lufa Farmsでは、化学肥料も、農薬も一切使っていません。害虫の駆除はどうしているのかというと、ミツバチ部隊とテントウムシ部隊が配備されているのだそうです。

    ひとつ残念なのは、カナダの現行の取り決めでは、水耕栽培による作物には、オーガニック認定が下りないこと。屋根にかかる重さの負担が大きくなるため、水耕栽培を選んだLufa Farmsの野菜は、そういう理由でオーガニック認定されていません。

    けれども、その活動はどこをとってもサスティナブルなもの。たとえば、通常の流通システムでは切り捨てられることの多い、形の悪い野菜は安く売られています。これらの野菜は人気の商品でもあるそうです。それでも出てしまう野菜の残りかすは、すべて堆肥作りに回しています。小規模な農場の利点はほかにもあり、大量生産には向かないとされ、作られなくなってきた昔の野菜の品種も栽培可能で、喜ばれているそうです。

    生産の現場から、離れていく一方だった都会の町に、生産の原点ともいえる「農場」を開いたアイディアには、目を開かれる思いがしました。確実に来ると言われる食糧難の時代を前に、省エネルギーの助けにも、二酸化炭素削減の助けにもなる屋上栽培。世界のあちこちの都市に参考にしてもらいたいなぁと思います。

    Lufa Farms Inc. ,Mr. Mondialisation

    All Photo ©Lufa Farms

    RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2015/11/050592rufafarms.html
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